羊水検査

羊水検査とは

母体の子宮内部で胎児を包み込む羊水には、胎児の古くなった垢などが混ざるように浮遊しています。
垢は新陳代謝により古くなった細胞ですので、母体から羊水を採取することにより胎児の染色体を検査することができます。
上記の目的で母体から羊水の一部を採取し、染色体異常の有無などを検査することを羊水検査と呼びます。
羊水検査は確定診断となります。(詳細は以下の羊水検査の精度をご覧ください。)

羊水検査には羊水を採取するための注射針と超音波プローブ(エコー)を用い、以下の手順により実施いたします。
・超音波プローブを用い、胎児の心拍数や発育の状況、羊水量、胎児や胎盤の位置(注射器を用いて羊水を採取することができる位置にあるか)を確認していきます。
・超音波プローブで確認した結果問題がなければ、超音波プローブで胎内の状況を確認しながら、母体の下腹部に注射針を刺して羊水を採取していきます。

羊水検査で採取された細胞を元に、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、転座や欠失などの染色体異常の有無や、開放性神経管奇形、特定の遺伝性疾患(筋ジストロフィーや血友病など親(保因者を含む)から子へ遺伝する可能性のある疾患)の有無を検査します。

羊水検査の時期と費用

羊水検査は妊娠15週以降に実施されます。
羊水検査で採取した胎児の細胞の培養に時間がかかるため、羊水検査の結果が出るまでに2〜3週間ほどの期間を要します。
一方で母体保護法で規定されている人工中絶の期間的制限(妊娠22週)を鑑みると、最悪のケースに備えて妊娠15週から遅くとも18週頃までには羊水検査を実施しておきたいところです。ただし、稀にではありますが羊水検査の再検査が必要となる場合があり、この場合1回目の羊水検査を妊娠18週頃に行った場合は、2回目の羊水検査の結果を妊娠22週までに得ることは難しくなります。

また、羊水検査は保険が適用されない自費診療となりますので、具体的な金額は病院により異なりますが約10〜15万円ほどの費用がかかります。

羊水検査の精度

羊水検査は確定検査ですが、検査には限界があり、その精度は100%ではありません。
羊水検査の精度がなぜ100%と言い切れないのかということを説明するために、まずは染色体異常となる5つのケースを説明いたします。
⑴完全型:すべての細胞で特定の染色体が1本多くなったり、逆に1本少なくなってしまうケース
⑵転座型:特定の染色体の一部が他の染色体にくっついてしまうケース
⑶モザイク型:一部の細胞で特定の染色体が1本多くなったり、逆に1本少なくなってしまうケース
⑷部分過剰:相同染色体が3本のトリソミーとなっている場合において、3本目の染色体が不完全な状態で形成されているケース
⑸部分欠損:2本の相同染色体の1本が不完全な状態で形成されているケース

羊水検査の完全型・転座型に対する精度は100%です。つまり、人為的なミスがない限り胎児の染色体異常の原因が完全型・転座型によるものである場合は一部の例外を除いて(※)染色体の異常を確実に検知することができます。
したがって、羊水検査の結果陰性と判定された場合は、一部の例外を除いて完全型・転座型の染色体異常はありません。

一方で、モザイク型については異常をきたしている細胞の割合が少ない場合は見落とされる場合があります。また、部分過剰・部分欠損についても極めて軽微である場合は見落とされる場合があるというのが現実です。

新型出生前診断母体血清マーカー検査は上述した完全型・転座型に対する精度が100%ではないのに対して、羊水検査は完全型・転座型に対する精度が100%であるため確定検査として取り扱われています。

※ 稀にではありますが、羊水から採取した細胞を培養する過程において、細胞の染色体構造が異形となってしまう偽性モザイクという現象が起きてしまうケースが存在します。偽性モザイクの場合は当然胎児に影響はありませんが、当該モザイクが胎児の細胞がモザイク型になっているのか、偽性モザイクなのかを診断するのが困難な場合が存在し、この場合は再度羊水検査が必要になる場合もあります。なお、再検査をしても真偽がはっきりしない場合もあります。
また、羊水を採取する際に注射針を母体の下腹部に貫通させる性質上、針の中に妊婦由来の細胞が入ってしまうケースも考えられます。相当細い針を使って羊水を採取するため、確率としてはゼロに近いのですが絶対にないとは言い切れません。

羊水検査のリスク

羊水検査による流産のリスク

羊水検査後、約0.3%の確率で胎児を流産してしまうリスクが存在します。
流産の原因は判定できないケースが多く、また妊娠15週より後にも自然流産をしてしまうケースもありますので、羊水検査後の流産の確率は非常に危険な検査というほどの確率ではありませんが、それでも100%安全な検査ではありませんので、あらかじめこの点については留意が必要です。

羊水検査による母体へのリスク

羊水検査の後、稀にではありますが出血や破水、下腹痛が生じるリスクがあり、入院安静が必要となるケースが考えられます。

羊水検査の受け止め方

羊水検査は確定診断ではありますが、羊水検査で染色体異常について陰性判定である場合も、異常率の少ないモザイク型、極めて軽微な部分過剰・部分欠損が起きている可能性は排除しきれないことに留意が必要です。

また、羊水検査で完全型・転座型の陽性判定が出た場合はほぼ100%の確率で胎児に染色体異常が生じていることになりますので、羊水検査を受診される前にこの事実をしっかりと受け止めておくことが必要ですし、判定後のカウンセリングを通じてよく医者とコミュニケーションをとり、誤った判断をしないようにあらかじめ心を強く持っておくことも必要でしょう。

なお、染色体異常や遺伝性疾患というのは多岐に渡って存在しているため、胎児が羊水検査で検査する項目以外の染色体異常や遺伝性疾患を発症している可能性があります。

以上のとおり、羊水検査の結果が陰性であったとしても、100%健常な赤ちゃんが生まれてくることを保証するものではないことを理解しておくことも必要です。

羊水検査の実施条件

羊水検査については日本産婦人科学会が公表している「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」において、以下のとおり羊水検査を実施する条件が定められています。
⑴夫婦のいずれかが,染色体異常の保因者である場合
⑵染色体異常症に罹患した児を妊娠,分娩した既往を有する場合
⑶高齢妊娠の場合
⑷妊婦が新生児期もしくは小児期に発症する重篤なX連鎖遺伝病のヘテロ接合体の場合
⑸夫婦の両者が,新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体劣性遺伝病のヘテロ接合体の場合
⑹夫婦の一方もしくは両者が,新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体優性遺伝病のヘテロ接合体の場合
⑺その他,胎児が重篤な疾患に罹患する可能性のある場合

見解ではありますが、日本産婦人科学会が公表しているものですので、羊水検査が実施できるケースとして想定できるのは、「両親の一方またはいずれかが遺伝性疾患を持っている場合(保因者を含む)」や「出産予定日の時点で35歳を過ぎる高齢出産の場合」、「エコー検査などで胎児の染色体異常の可能性を指摘された場合」、「母体血清マーカー検査や新型出生前診断の結果陽性判定を受けた場合」などであり、羊水検査は誰もが無条件に受けることができる検査ではないということがいえます。

羊水検査を実施するケースとして一番多く想定できるのが、「母体血清マーカー検査新型出生前診断の結果陽性判定を受けた場合」の確定検査として実施するケースです。

上述したとおり羊水検査には稀にではありますが流産リスクがゼロではありませんので、出産予定日時点の年齢が35歳を超える方については新型出生前診断、出産予定日時点の年齢が35歳に満たない方についても母体血清マーカー検査をそれぞれ受診することが可能ですので、まずはこれらの非確定診断の受診を考えてみても良いかもしれません。
この場合、羊水検査の実施、および結果が出るまでの期間を考慮して妊娠16週頃までを目安に新型出生前診断母体血清マーカー検査を実施するように留意ください。

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