絨毛検査

絨毛検査とは

母体から胎児に栄養分を届けたり、胎児の不要物の排出は胎盤を介して行われるわけですが、この胎盤の形成する組織の一部の絨毛は母親ではなく胎児由来の細胞で作られています。
細胞の内部には染色体が存在していますので、絨毛を採取することで胎児の染色体を検査することができます。
上記の目的で母体から絨毛の一部を採取し、染色体異常の有無などを検査することを絨毛検査と呼びます。
絨毛検査は確定診断となります。(詳細は以下の絨毛検査の精度をご覧ください。)
絨毛検査は、胎盤の位置等に応じて2種類の方法で実施いたします。
⑴経腹法
胎盤が子宮の前壁(腹部側)に付着している場合には経腹法を用いて絨毛を採取します。
経腹法には、絨毛採取針と超音波プローブ(エコー)を用い、母体の腹部にエコーをあてて胎児や胎盤の位置を確認しながら、母体の下腹部から絨毛採取針を刺して胎盤内に存在する絨毛を採取します。
⑵経膣法
胎盤が子宮の後壁(背部側)に付着している場合は経膣法を用いて絨毛を採取します。
経膣法には、生検鉗子やカテーテルと超音波プローブ(エコー)を用い、母体の腹部にエコーをあてて胎児や胎盤の位置を確認しながら、母体の膣部から生検鉗子やカテーテルを挿入して胎盤内に存在する絨毛を採取します。

絨毛検査で採取された細胞を元に、染色体異常の有無や特定の遺伝性疾患(筋ジストロフィーや血友病など親(保因者を含む)から子へ遺伝する可能性のある疾患)の有無を検査します。

絨毛検査は羊水検査に比べて早い時期に検査を実施できるという特性がある反面で、高度な技術や遺伝性疾患に関する知識を要するため、絨毛検査を実施できる医療施設は限られています。

絨毛検査の時期と費用

絨毛検査はおおむね妊娠10〜14週の時期に実施されます。(具体的な時期は病院の方針により異なりますのでひとつの目安としてお考えください。)
絨毛検査費用は検査内容や病院によって異なりますが、おおむね10〜20万円となります。

絨毛検査の精度

絨毛検査は確定検査ですが、検査には限界があり、その精度は100%ではありません。
絨毛検査の精度がなぜ100%と言い切れないのかということを説明するために、まずは染色体異常となる5つのケースを説明いたします。
⑴完全型:すべての細胞で特定の染色体が1本多くなったり、逆に1本少なくなってしまうケース
⑵転座型:特定の染色体の一部が他の染色体にくっついてしまうケース
⑶モザイク型:一部の細胞で特定の染色体が1本多くなったり、逆に1本少なくなってしまうケース
⑷部分過剰:相同染色体が3本のトリソミーとなっている場合において、3本目の染色体が不完全な状態で形成されているケース
⑸部分欠損:2本の相同染色体の1本が不完全な状態で形成されているケース

絨毛検査の完全型・転座型に対する精度は100%です。つまり、人為的なミスがない限り胎児の染色体異常の原因が完全型・転座型によるものである場合は一部の例外を除いて(※)染色体の異常を確実に検知することができます。
したがって、絨毛検査の結果陰性と判定された場合は、一部の例外を除き完全型・転座型の染色体異常はありません。

一方で、モザイク型については異常をきたしている細胞の割合が少ない場合は見落とされる場合があります。また、部分過剰・部分欠損についても極めて軽微である場合は見落とされる場合があるというのが現状です。

新型出生前診断母体血清マーカー検査は上述した完全型・転座型に対する精度が100%ではないのに対して、絨毛検査は完全型・転座型に対する精度が100%であるため確定検査として取り扱われています。

※ 厳密には絨毛の細胞は胎児由来の細胞ではあるものの胎児の細胞とまったく同じ細胞ではない可能性があります。約1%くらいの確率で、採取した複数の絨毛の細胞が、正常な染色体を持つ細胞と異常な染色体を持つ細胞が混在している胎盤限局モザイクという状態になるケースがあり、この場合は胎児の染色体が正常か異常かを判定することができません。この場合はさらなる確定診断として羊水検査を実施することになります。

絨毛検査のリスク

絨毛検査による流産のリスク

絨毛検査による流産のリスクは1%程度とされています。
この流産リスクは羊水検査の0.3%と高くなっていますが、これは絨毛検査そのものが持つリスクだけではなく、羊水検査に比べ比較的妊娠の早期に絨毛検査を実施することが関係していると言われています。(一般的に妊娠週数が早ければ早いほど流産の可能性は高くなります。)
したがって、単純に絨毛検査という方法そのものが羊水検査に比べてリスクが高いとは言い切れないものですが、妊娠週数の関係も含め、実際に絨毛検査の流産リスクが高いという事実には変わりありませんので、この事実を受け止めておく必要があるでしょう。
なお、流産に至らなくても破水などが起こることもあります。

絨毛検査による胎児へのリスク

過去に妊娠8週以前に絨毛検査を受けた妊婦から、四肢が切断された子どもが生まれた事例が多数報告されています。
この理由としては、絨毛を採取した際に絨毛膜と呼ばれる部位に血栓が発生し、この血栓が胎児の四肢へ移動して末端部の壊死を引き起こした可能性が考えられています。
妊娠9週以降の絨毛検査では四肢が切断された赤ちゃんが生まれたという報告例はなく、このことから器官の形成期である妊娠8週以前の絨毛検査は避けられるようになりました。

絨毛検査による母体へのリスク

稀にではありますが、母体に重症合併症を引き起こすリスクが存在いたします。
経腹法においては針が腸に刺さってしまい腹膜炎を引き起こすリスクが、経膣法においては生検鉗子が子宮筋層を突き通って腹腔内にまで達してしまい腹膜炎を引き起こすリスクがあります。
また、経膣法ではおおむね10%の確率で外出血が生じてしまい、外出血が多いケースにおいては入院安静が必要となる場合があります。

絨毛検査の受け止め方

絨毛検査は確定診断ではありますが、絨毛検査で染色体異常について陰性判定である場合も、異常率の少ないモザイク型、極めて軽微な部分過剰・部分欠損が起きている可能性は排除しきれないことに留意が必要です。

また、絨毛検査で完全型・転座型の陽性判定が出た場合はほぼ100%の確率で胎児に染色体異常が生じていることになりますので、絨毛検査を受診される前にこの事実をしっかりと受け止めておくことが必要ですし、判定後のカウンセリングを通じてよく医者とコミュニケーションをとり、誤った判断をしないようにあらかじめ心を強く持っておくことも必要でしょう。

なお、染色体異常や遺伝性疾患というのは多岐に渡って存在しているため、胎児が絨毛検査で検査する項目以外の染色体異常や遺伝性疾患を発症している可能性があります。

以上のとおり、絨毛検査の結果が陰性であったとしても、100%健常な赤ちゃんが生まれてくることを保証するものではないことを理解しておくことも必要です。

絨毛検査の受診条件

絨毛検査については日本産婦人科学会が公表している「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」において、以下のとおり絨毛検査を実施する条件が定められています。
⑴夫婦のいずれかが,染色体異常の保因者である場合
⑵染色体異常症に罹患した児を妊娠,分娩した既往を有する場合
⑶高齢妊娠の場合
⑷妊婦が新生児期もしくは小児期に発症する重篤なX連鎖遺伝病のヘテロ接合体の場合
⑸夫婦の両者が,新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体劣性遺伝病のヘテロ接合体の場合
⑹夫婦の一方もしくは両者が,新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体優性遺伝病のヘテロ接合体の場合
⑺その他,胎児が重篤な疾患に罹患する可能性のある場合

見解ではありますが、日本産婦人科学会が公表しているものですので、絨毛検査が実施できるケースとして想定できるのは、「両親の一方またはいずれかが遺伝性疾患を持っている場合(保因者を含む)」や「出産予定日の時点で35歳を過ぎる高齢出産の場合」、「エコー検査などで胎児の染色体異常の可能性を指摘された場合」などであり、絨毛検査は誰もが無条件に受けることができる検査ではないということがいえます。

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