アレルギーの発症に遺伝が影響する?アレルギーの症状・原因・リスク遺伝子・予防方法まとめ

はじめに、アレルギーは遺伝により発症リスクに影響を受ける症状です。

しかしながら、遺伝によってアレルギーが必ず発症したり、逆に発症しないものでもありません。
遺伝的な要因という体質的なベースがあって、さらに環境的な要因が加わることでアレルギーを発症したり、逆に発症しなかったりします。

この記事ではアレルギーの基本的な知識と、遺伝がアレルギーの発症リスクに与える影響、アレルギーの発症リスクに影響を与える遺伝子の検査方法、アレルギーの予防方法などについてご紹介させていただきます。

アレルギーとは

多くのヒトが持っているアレルギーという病気。
周りのヒトを見てみれば誰かはアレルギーを持っているといっても過言ではないくらいに身近な病気ではありますが、意外と仕組みをよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

ヒトにはウィルスや細菌などの外敵から体を守る仕組みが備えられており、これを免疫といいます。
免疫とはその名のとおり「病気(疫)を免れる」機能のことですが、この免疫機能は自分自身を構成している細胞の成分と外から侵入してくる自分の細胞以外の物質(異物)を区別し、区別した異物を排除することで成り立っています。
つまり、そもそも免疫機能がなければ外から体内に入ってくるウィルスや細菌に対抗することができませんので、ヒトは生きていくことができません。
そんなヒトの生命活動に欠かすことができない免疫機能ですが、アレルギーを発症すると免疫機能がうまく働かなくなり、過剰に働いて自分自身を傷つけるようになってしまいます。

例えば免疫機能がうまく働かなくなり特定の食べ物が異物として認識されてしまうと、その食べ物を体内に取り込んだ際に免疫を担当する白血球が該当の食べ物を体内から排除しようと攻撃してしまい、その結果食物アレルギーという症状が引き起こされます。
同様に、スギ花粉が異物として認識されてしまうと花粉症に、ダニの糞や死骸が異物として認識されてしまうと気管支喘息に、皮膚の汚れが異物として認識されてしまうとアトピー性皮膚炎になります。

続いてアレルギーと呼ばれる症状の範囲ですが、広義のアレルギーとは免疫不全すべての状態を指しますので以下のⅠ〜Ⅳ型に分類づけられた症状すべてがアレルギーとされています。

アレルギーの分類 症状
Ⅰ型アレルギー アトピー性皮膚炎
食物アレルギー
気管支喘息
花粉症
Ⅱ型アレルギー 重力筋無力症
バセドウ病
悪性貧血
Ⅲ型アレルギー 膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)
Ⅳ型アレルギー 接触過敏症

一般的にアレルギーと呼ばれているものがⅠ型アレルギーに分類されている症状で、有害性の低い異物にも関わらず免疫機能が過剰に働いてしまうことで引き起こされます。
Ⅱ型とⅢ型のアレルギーは自己免疫疾患と呼ばれるもので、簡単に説明をすると自分自身の細胞を異物と認識して攻撃してしまうことにより起こる病気です。白血球が異物として認識する自分自身の細胞が特定の臓器に限定される場合がⅡ型アレルギー、体全体に影響を及ぼす場合がⅢ型アレルギーと分類されています。
また、Ⅳ型アレルギーは細菌やウイルスなどの有害性・危険性が高い異物が体内に入ってきた時に働くTh1細胞という白血球の働きにより引き起こされるアレルギー反応です。接触過敏症と呼ばれ化粧品負けなどがこれに該当します。
この記事では一般的にアレルギーとして理解されているⅠ型アレルギー(以下、単にアレルギーと呼びます)について説明させていただきます。

アレルギー反応を起こす対象によって様々な症状が発生しますので、アレルギーが関わる病気は沢山あるわけですが、アレルギー性疾患の代表例ともいえる花粉症(アレルギー性鼻炎)の患者数の推移を見ていきましょう。
花粉症の患者は、厚生労働省の調査によると2002年は402,000人、2005年は446,000人、2008年は512,000人、2011年は557,000人、そして2014年には663,000人という患者数となっています。前から患者数が多いにもかかわらず依然として患者数が増加傾向にあり、非常に多くの患者が存在する発症頻度の高い病気といえるでしょう。
アレルギーの患者数の推移を表したグラフ
アレルギー症状全体を見てみると、国立成育医療センターが20〜60代の男女348名を対象に2003年に実施したプリックテスト(皮膚につけた傷に花粉などのアレルゲン物質を浸透させてアレルギー反応の有無を調べるテスト)の結果によれば、20代の方の80%以上もの方が何らかのアレルギー反応を示し、ほかの年代では、60代で30%程度、50代で40パーセント程度、30〜40代で70%程度という結果になったことが報告されています。つまりこの結果から年代が若ければ若いほど何らかのアレルギーを持っている方が多いことがわかります。
また、他方で1970代にも大学生を対象に実施した同様のテストを実施しており、アレルギー反応があった方の割合が25%程度であったという結果も報告されていますので、これらの結果からいかに爆発的にアレルギーを持っている方が増えているかということが理解いただけるかと思います。

アレルギーの症状

アレルギーの症状はその対象となる異物(アレルゲン)によって様々です。
以下にアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、花粉症の代表的な症状をご紹介させていただきます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎を発症すると、皮膚がカサカサになり、強いかゆみを伴った湿疹が引き起こされます。
特に強いかゆみが特定の場所(顔や首、肘や膝など年齢によって異なります)に現れるのが特徴で、そのかゆみはひどくなったり治まったりと憎悪と寛解を繰り返すことが特徴です。
上記の症状が現れた場合にアトピー性皮膚炎と診断されますので、厳密にはアレルギーが原因でない場合もアトピー性皮膚炎と診断される場合もありますが、その原因はアレルギー反応によるものが多いのが現状です。

食物アレルギー

食物アレルギーを発症すると、特定の食べ物を食べた時に喉のかゆみや肌にじんましん、嘔吐、下痢などの症状が出ます。
特にアレルギー反応がひどい場合は血圧が急に下がり、意識障害に見舞われるアナフィラキシー・ショックという重篤な症状に見舞われるケースもあります。
アレルギー反応を起こす食べ物として特に多く挙げられているのが、卵(卵白)や牛乳、小麦粉で、これだけで食物アレルギー全体の約70%を占めます。
そのほかアレルギー反応を示す食べ物としては、米や蕎麦、大豆・ナッツ類、魚・甲殻・肉類など様々な食材があります。

気管支喘息

気管支喘息を発症すると、鼻や口から取り込まれたダニやホコリなどの異物(アレルゲン)に対するアレルギー反応が気管で起きてしまい、気管内部で炎症が発生し軌道が狭くなり、呼吸困難などの症状が引き起こされます。
ゼイゼイ・ヒュヒューといった喘鳴がなることも特徴的です。
一般に思春期になるころには寛解するものと考えられていましたが、最近では大人でも気管支喘息を発症される方が増えてきています。

花粉症

花粉症を発症すると、アレルゲンとなる花粉が飛散する時期になると鼻水・鼻づまりやくしゃみ、目鼻喉のかゆみなどの症状が引き起こされます。
花粉症のアレルゲンとして一番多いものが春に飛散するスギやヒノキの花粉ですが、春から夏にかけて飛散するシラカバやイネの花粉、夏から秋に飛散するブタクサの花粉など様々な花粉をアレルゲンとした花粉症が存在します。

アレルギーの原因

アレルギーの原因は免疫機能がうまく働かなくなり過剰に働きすぎてしまうことですが、このメカニズムをもう少し掘り下げて説明させていただきます。
まずは簡単に免疫機能の仕組みから説明させていただいたうえでアレルギーの原因を説明させていただきます。

免疫機能の仕組み

外部から体内に取り込まれる細菌やウイルスなどから体を守るために存在するのが免疫機能で、この免疫機能の役割を果たしているのが白血球です。
白血球にはマクロファージや樹状細胞、T細胞、B細胞などの様々な種類が存在しており、外部から細菌やウイルスが入ってきた時にまずはじめに出動するのがマクロファージなどの食細胞と呼ばれる白血球です。
マクロファージは細菌やウイルスを食べて分解していくとともに、サイトカインと呼ばれる物質を分泌して異物を退治するための情報を周辺の細胞に伝達していきます。するとサイトカインにより異物の情報を受け取った周辺に存在する他の食細胞の働きも活発になり異物を排除していきます。この一連の流れを「自然免疫」と呼びます。
自然免疫だけで完全に異物を排除できれば良いのですが、なかなかそうはいきません。このため樹状細胞が異物を退治するための情報をヘルパーT細胞(T細胞の一種)まで運び、ヘルパーT細胞は伝えられた異物の情報を元にB細胞に指示を行なって抗体を製造させます。この一連の流れを「獲得免疫」と呼びます。
獲得免疫のプロセスは「細菌やウイルスのような有害性が高い異物」と「スギ花粉などのような有害性が低い異物」の2つで大きく異なり、有害性の高い異物に対しては1型ヘルパーT細胞が働き「IgG抗体」を、有害性の低い異物に対しては2型ヘルパーT細胞が働き「IgE抗体」をそれぞれ製造します。
そしてこのIgE抗体がアレルギーを引き起こす原因となります。

アレルギーの原因は過剰に生成されたIgE抗体

2型ヘルパーT細胞はインターロイキンという物質を使って、B細胞がIgE抗体を製造するための情報を伝達します。
この時、インターロイキンは樹状細胞にも取り込まれ、樹状細胞はその表面にIgE受容体を作ります。
表面にIgE受容体を持った樹状細胞はB細胞から作り出されるIgE抗体を取り込みやすくなり、IgE抗体と結合すると樹状細胞はさらに該当の異物(アレルゲン)を取り込みやすくなり、取り込まれた情報はさらに2型ヘルパーT細胞に伝達され、雪だるま式にIgE抗体が増えていきます。
雪だるま式に増加したIgE抗体は皮膚や粘膜に存在するマスト細胞にも結合していくわけですが、IgE抗体が結合したマスト細胞は侵入した異物(アレルゲン)を捕えるようになり、この時の刺激でヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が分泌されます。
そして、これらの化学物質がくしゃみや鼻水、咳やかゆみなどのアレルギー反応を引き起こす直接的な原因となります。

つまり、アレルギーの直接的な原因はマスト細胞が分泌するヒスタミンやロイコトリエンであり、その間接的な原因となるのが2型ヘルパーT細胞の過剰な働きによるIgE抗体の過剰な生成といえます。

近年爆発的な勢いでアレルギーの方が増えていることを鑑みると、2型ヘルパーT細胞が過剰に働いてしまう原因には環境的な影響が強く関係していると考えられます。
一方で、IgE濃度については遺伝子の影響も受けており、特定の遺伝子型の方はIgE濃度が濃く、IgE抗体を過剰に生成してしまいがちな傾向にあるというのも事実です。

アレルギーの発症リスクが遺伝する仕組み

アレルギーの発症リスクが高くなるヒトは特有の遺伝子の構造(リスクアレル)をもちます。
そしてヒトは2つの同じ種類の染色体(相同染色体)をもっていますので、染色体の中に存在する遺伝子も同様に同じ種類の遺伝子が2つあり、『2つの遺伝子がリスクアレル>1つの遺伝子がリスクアレル>リスクアレルの遺伝子なし』の順番でアレルギーの発症リスクが高くなる傾向にあります。
ヒトは生まれる際に遺伝によって両親から1つずつ同じ種類の染色体を授かりますので、同時にアレルギーの発症リスクに関係する遺伝子も遺伝により両親から1つずつ授かることになり、アレルギーの発症リスクは遺伝することを説明することができます。

上記のアレルギーの発症リスクの遺伝現象をイラストで説明すると以下のとおりになります。
①父親が1つアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の1つのアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
②父親が2つアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の2つのアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
③父親と母親が1つずつアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、25%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の1つずつのアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
④父親が2つ、母親が1つアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、残りの50%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
父親の2つのアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレルと母親の1つのアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
⑤父親と母親が2つずつアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率でアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の2つずつのアレルギーの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト

アイコン「発症リスクの捉え方」

リスクアレル遺伝子はアレルギーの発症を100%決定づけるものではありません。

遺伝子とアレルギーの発症リスクの関係は統計的に調査されたものであり、リスクアレル遺伝子を持っているヒトはそうでないヒトに比べて統計的にアレルギーの発症リスクが高くなる傾向が見られるという意味合いに留まります。

具体的にはリスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトと、リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒト、リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトを大勢集め、それぞれのグループに分けてアレルギーの発症率を調べると「リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトのグループ」の順番でアレルギーの発症率が高くなります。

一方でグループの中のひとり一人に着目すると、リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトでアレルギーを発症されていない方もいらっしゃいますし、反対にリスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトでアレルギーを発症されている方もいらっしゃいます。

以上の理由から、リスクアレル遺伝子はアレルギーの発症リスクを高くする《傾向》があると理解することが大切です。

アレルギーの発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

※遺伝子検査サービス会社で実施するアレルギーの発症リスクの具体的な評価方法はノウハウ(会社独自の技術)であり公表されておりません。
以下でご紹介する内容はVaDE(ゲノム情報データベース)やNBCD(バイオサイエンスデータベースセンター)等で公表されている内容を参照してゲノラボが独自にまとめたものであり、遺伝子検査サービス会社が実施する遺伝子検査の方法を説明したものではありませんのであらかじめご了承願います。

アレルギーの発症リスクを評価するためには該当の遺伝子がリスクアレルかどうかを検査していくわけですが、リスクアレルの構造に該当するかどうかは遺伝子の特定の箇所に存在する塩基の種類を調べることにより確認します。

具体的には以下のとおり該当の遺伝子について検査します。

第1染色体に存在する遺伝子

第1染色体に存在するFCER1A遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、アレルギーの原因となるIgE濃度の遺伝子的な傾向が分かり、これによりアレルギーの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによってアレルギーの発症リスクが変わり、シトシン(C)である場合はIgE濃度が高い傾向となりアレルギーになりやすい体質、チミン(T)である場合はアレルギーになりにくい体質と評価されます。(つまりシトシン(C)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとCC>CT>TTの順番でアレルギーの発症リスクが高くなります。

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九州大学が74名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるシトシン(C)を持つ日本人の割合が5.5%、チミン(T)を持つ日本人の割合が94.5%という結果になりました。
この結果を参照すると、最もアレルギーの発症リスクが高くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が0.3%、CCの次にアレルギーの発症リスクが高いCTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が10.3%、最もアレルギーの発症リスクが低くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が89.3%となります。

アレルギーの予防方法

アレルギーの原因は2型ヘルパーT細胞が過剰に働いてIgE抗体を多く分泌してしまうためですが、2型ヘルパーT細胞の数が決めるのは幼児期です。
つまり、幼児期でアレルギー体質かそうでないかが決まりますので、以下では幼児期の予防方法と、すでにアレルギーを発症している場合の予防方法に分けてご紹介させていただきます。

幼児期の予防方法

①過剰に衛生的な環境で育てない
T細胞はヒトが生まれた時にはまだ1型や2型のどちらでもないナイーブT細胞という状態で、このナイーブT細胞が1型ヘルパーT細胞や2型ヘルパーT細胞に分化していきます。
つまり、出生後2型ヘルパーT細胞に分化するナイーブT細胞が多ければアレルギー体質になるという説明がつきます。そして、このナイーブT細胞が1型になるか2型になるかを決めているのは「環境」です。
思い出してもらいたいのですが、1型ヘルパーT細胞は有害性の高い異物、2型ヘルパーT細胞は有害性の低い異物に対して働きます。
つまり、最近やウィルスの存在しない衛生的な環境で育てられたヒトは1型ヘルパーT細胞をあまり必要としないため、 余ったナイーブT細胞は2型ヘルパーT細胞に分化していくと考えられています。
したがって、あまりにも衛生的な環境に赤ちゃんを置きすぎてしまうと必然的にナイーブT細胞が2型ヘルパーT細胞にならざるを得なくなるためアレルギー体質になってしまうということが説明できます。

では細菌やウィルスの多い不衛生な環境で赤ちゃんを育てるとどうでしょう?この場合は逆に1型ヘルパーT細胞が増えて過剰になり、自己免疫疾患(Ⅱ型アレルギーやⅢ型アレルギー)を引き起こす原因となってしまいますし、細菌やウイルスに感染してしまい最悪の場合死にいたってしまいます。

つまり、ナイーブT細胞がバランスよく1型ヘルパーT細胞や2型ヘルパーT細胞に分化していくことが大事で、どちらか一方に偏ってはいけないということです。
したがって、幼児期に必要以上に衛生環境を整えすぎてしまったり、不衛生にしすぎないことがアレルギーを予防するために大切なことといえるでしょう。
衛生的な環境で育てすぎているというのは、現代社会で爆発的にアレルギー体質の方が増えていることを考えると、アレルギーの原因としてとても納得できる理由ではないでしょうか。

②皮膚の乾燥には要注意
また上記と合わせてアレルギーの原因の根幹にあるものが皮膚のバリア機能の低下であることが明らかになりました。
つまり、花粉症も、食物アレルギーも、気管支喘息も、アトピー性皮膚炎も全ての原因は、大気中のアレルゲンがバリア機能が低下した皮膚から体内に取り込まれたことが原因だったのです。

皮膚ではフィラグリンと呼ばれるタンパク質がバリア機能を果たしており、乾燥するとこのフィラグリンが減少してバリア機能が低下してしまいますので、全身に保湿剤を塗るなどして保湿をしてあげることによりバリア機能の低下を防ぐことができます。
アトピー性皮膚炎の家族を持つ幼児118人を対象に、全身に保湿剤を塗った幼児59人と、乾燥した局所に飲みワセリンを塗った幼児59人を対象にアトピー性皮膚炎の発症状況を比較したところ、後者が28人であったのに対し、前者は19人であったという調査結果も報告されていますので、肌の保湿だけでアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上も低下することが証明されています。

アレルゲンを肌から取り込んでしまうことを防ぐため、保湿剤を活用し幼児期の皮膚の乾燥を避けましょう。

すでにアレルギーを発症されている場合

アレルギーを発症されている場合、最大の予防法は原因物質(アレルゲン)に触れないことですが、現在では医療の進歩によりアレルギー症状を緩和させる方法が広く提供されるようになってきました。

その方法が舌下免疫療法と呼ばれるもので、対象となるアレルゲンのエキスを舌に垂らしてIgG4抗体というものを作り、次に同じアレルゲンが体内に入ってきた時にIgG4抗体が結合することでIgE抗体が結合することを防ぎ、アレルギー反応が発生しないようにします。

一度の治療では不十分で、定期的に継続して治療を行わないといけないというデメリットはありますが、すでにアレルギー体質になられている方に対する新たな治療法として注目を集めています。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

アレルギーは現代病ともいえる代表的な疾患で、日本人の80%もの方がなんらかのアレルギーを持っていると言われていますので、将来的にはアレルギー体質というのが標準的な体質として認知される日も近いのかもしれません。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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