大腸がんの発症に遺伝が影響する?大腸がんの症状・原因・リスク遺伝子・予防方法まとめ

はじめに、大腸がんは遺伝の影響を強く受ける病気です。

ただし、遺伝だから必ず大腸がんを発症したり、反対に遺伝的に大丈夫だから絶対大腸がんを発症しないという性質のものではありません。
遺伝が与える影響はあくまでも大腸がんの発症しやすさであり、遺伝的に発症しやすい体質の方であっても日頃から予防に努めることで発症リスクを抑えることができますし、反対に遺伝的に発症しにくい体質の方であっても生活習慣の影響で発症リスクが高まります。

この記事では大腸がんの基本的な知識と、遺伝が大腸がんの発症リスクに影響を与える仕組み、大腸がんの発症リスクに影響を与える遺伝子の検査方法、大腸がんの予防方法などについてご紹介させていただきます。

大腸がんとは

大腸は、小腸から肛門にかけて続く約1〜1.5mの消化器官で盲腸・結腸・直腸などから構成され、主に小腸から送られた液状の便から水分を吸収する役割を持っています。
この大腸の一部の部位である盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S字結腸・直腸S状部・上部直腸・下部直腸でできるがん(※)のことを広く大腸がんと呼びます。

※がんとは
ヒトの体は約37.2兆個の細胞から構成されており、新しい細胞ができては古くなった細胞と入れ替わっています。
1つの細胞が2つに分裂することで新しい細胞が作られていくわけですが、正常な細胞であれば周囲の状態を検知し必要に応じて細胞分裂を行うのに対し、がん化した細胞は際限なく分裂を繰り返し増殖していきます。がん化した細胞が分裂を繰り返した結果発生した大きなかたまりのことをがんと呼びます。

2000年〜2002年にかけて大腸癌研究会が調査した結果によると、大腸がんの部位別の発生頻度は以下のとおりです。
最も発生頻度が多いのは直腸とS字結腸であり、この2つの部位で大腸がんの50%以上を占めています。

大腸がんの部位 発生頻度
直腸がん 26.4%
S字結腸がん 26.4%
上行結腸がん 13.6%
直腸S状部がん 12.5%
横行結腸がん 9.2%
盲腸がん 6.5%
加工結腸がん 4.8%

大腸癌研究会「大腸癌全国登録」より

続いて大腸の構造ですが、大腸は薄い層がいくつも重なることによってできており、この層を内側から見ていくと、まず大腸内部の一番内側に1mm程度の厚みの粘膜があり、粘膜から外側に向けて粘膜筋板、リンパ管や血管が存在する粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜(直腸の下部のみ漿膜が存在しません)と重なるように構成されており、全体の厚みは4mm程度となります。

大腸がんの多くは一番内側の粘膜で発生する「線がん」と呼ばれるもので粘膜から粘膜下層、固有筋層と外側に向けて浸潤していくことから、がん細胞が粘膜や粘膜下層にとどまっている状態であれば「早期大腸がん」、がん細胞がそれよりも外側に深く達している状態であれば「進行大腸がん」と呼びます。
大腸がんが粘膜下層に及ぶと血管やリンパ管を経由して他の臓器への転移がはじまります。

大腸がんの患者数は、厚生労働省の調査によると2002年は221,000人、2005年は213,000人、2008年は235,000人、2011年は233,000人、そして2014年には261,000人という患者数となっています。近年急激に患者数が増加しており、多くの患者が存在する発症頻度の高い病気といえます。
大腸がんの患者数の推移を表したグラフ

大腸がんは比較的男性に多く発生するがんで男性の罹患率は女性の約1.4倍ともいわれており、さらに40〜50歳代で発症率が増え初めて年齢が上がるとともに発症率が高くなっていく傾向にありますので40歳を超えた男性の方は特に大腸がんに注意が必要です。
ただし、最近では20代や30代の若い世代の方や女性の方の発症も増えてきていますので、若いから、また女性だからといって安心することはできない病気です。

大腸がんの症状

大腸がんが厄介なのは、比較的早期の大腸がんの場合ほとんど自覚症状がないことです。
また早期の大腸がんは、大腸がんを調べる便潜血検査でも診断することができないケースが多く、自覚症状があった場合や便潜血検査で陽性判定となった場合は大腸がんがある程度進行していることが考えられます。
大腸がんが進行しますと、大腸に発生した腫瘍によって以下のような症状が発生します。
①下血・血便・粘血便の発生
粘膜に潰瘍がつくられることで大腸内部で出血が起き、便が大腸を通るときに潰瘍部分がこすられて血液が付着することによって、肛門からの血液の排出(下血)、便への血液の付着(血便)、便への血液・粘液の混じり(粘血便)といった症状が引き起こされます。
ここで注意していただきたいのは血便は必ずしも赤色のものではないということで、肛門に近い部位で大腸がんが発生した場合は赤い色の血便になる傾向がありますが、肛門から遠い部位(盲腸や上行結腸など)で大腸がんが発生した場合は黒い色の血便になる傾向にあります。
赤色の血便、黒色の血便両方に注意するようにしましょう。

②便秘、下痢、便柱狭小、腹部膨脹感、残尿感の発生
大腸がんが粘膜部で発生すると大腸内部がそれだけ狭くなりますので便の通りが悪くなります。
この影響によって、便秘気味・下痢気味になったり、腹部が膨張しているように感じたり、便が細くなったり(便柱狭小といいます)、排尿後に尿が残っているように感じたりといった症状が引き起こされます。
また、ひどくなると腹痛や腸閉塞(腫瘍によって大腸が塞がってしまい便が通らなくなる症状)、貧血や腹部にしこりができたりといった症状が引き起こされますので、これらの症状が出ている場合はすぐに病院で受診されることをオススメします。

肛門から遠い部位で発生する大腸がんに注意を

大腸がんが肛門から遠い盲腸や上行結腸、横行結腸で発生する場合はさらに症状を自覚しにくくなる傾向にありますので注意が必要です。
大腸の主な役割は便に含まれる水分を吸収することですので、小腸から大腸に運ばれたばかりの便は水分の多い流動状のものとなります。
したがって、大腸がんによって大腸の内部が狭くなっても通過障害が起こりにくく、また出血が発生してもその後肛門まで通過していく過程が長いため黒色の便となり肉眼で血便が発見しづらい傾向にあります。
上述した①や②の症状が出ていないにも関わらず、腹部にしこりが発生したり貧血症状が出ている場合にも大腸がんに注意が必要です。

大腸がんに似た症状を伴う病気

症状から大腸がんと間違えられやすい病気は複数存在いたします。

①痔

まず大腸がんと一番間違われやすい病気は痔です。
痔でも血便の症状が出ますので、便に血が混じっているからといってすぐに大腸がんと診断されるわけではありません。
反対に痔を患っている方が血便の原因が痔だと思い込んでしまい、大腸がんと気づかないケースもありますので注意が必要です。

②肛門がん

稀なケースではありますが、肛門がんが原因で血便の症状が起こることがあります。
肛門がんは大腸につながる肛門から3cm程度の肛門管と呼ばれる部位で発生するがんで、大腸がんの約1%位の頻度で発症します。

③潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎を発症すると大腸の粘膜部の表面にただれや潰瘍が引き起こされますので、下痢や腹痛などの症状のほか下血や血便が生じる可能性があります。

④クローン病

クローン病を発症すると、小腸や大腸といった消化管に原因不明の炎症が引き起こされますので、下痢や腹痛、発熱、腹部のしこり、貧血といった症状のほか下血や血便が生じる可能性があります。いずれの病気であっても治療が必要ですので、早急に病院で診断を受けられる必要があります。

大腸がんの原因

近年急速に大腸がんの発症数が増加していることから、大腸がんの原因は食の欧米化にあるということは以前から言われてきましたが、最近の研究の結果特定の生活習慣と大腸がんの発症リスクとの関係性が明らかになってきました。

大腸がんの原因①:飲酒習慣

国立がん研究センターによると、全くお酒を飲まないヒトとお酒を嗜まれるヒトを比べると、アルコール摂取量が増えれば増えるほど大腸がんの発症リスクが増加する傾向にあるという調査結果が出ていますので、大腸がん予防の観点からは、習慣的な飲酒は控えて嗜む程度にお酒を飲まれることをオススメします。
アルコール摂取量と発症リスクの具体的な相関関係は以下のとおりです。

アルコール摂取量(g/日) 大腸がん発症リスク
飲まない 1.0
週に1回未満 1.0
0.1〜22.9 1.2
23〜45.9 1.4
46〜68.9 2.0
69〜91.9 2.2
92以上 3.0 

※アルコール量(g)の計算方法
アルコール量は以下の方程式で算出することができます。
アルコール量(g)=アルコール飲料の量(ml)×アルコール度数(%)×アルコール比重(0.8)
例えば500mlのキリンラガービールに含まれるアルコール量は、500(量)×0.05(度数)×0.8で20となります。

大腸がんの原因②:喫煙習慣

国立がん研究センターが実施した35歳以上の直腸の大腸がん患者を対象とした喫煙習慣の有無の調査により、喫煙習慣は特に男性の直腸の大腸がんの発症リスクを高めることが分かりました。
タバコは百害あって一利なしですので、これを機会に禁煙されることをオススメします。

大腸がんの原因③:運動不足

国立がん研究センターが実施した40〜69歳の大腸がん患者を対象とした運動習慣の有無の調査により、運動習慣がない方は大腸がんの発症リスクが全体的に高まることが分かりました。
特に男性の結腸の大腸がんについては関係性が強く、女性の直腸の大腸がんでも中程度の関係性があるといわれています。

大腸がんの原因④:遺伝の影響

上述した以外に、大腸がんについては遺伝の影響を強く受けることが知られています。
家系に大腸がんを発症された方がいる場合はリスクが高くなることが報告されており、稀に家族性大腸がん(家族性大腸腺腫症・遺伝性非ポリポーシス大腸がん)というものも存在しますので、心当たりがある方は定期的な検診を受けた方が良いでしょう。
なお、潰瘍性大腸炎やクローン病を発症されている方も大腸がんのリスクが高くなるといわれています。

大腸がんの発症リスクが遺伝する仕組み

大腸がんの発症リスクが高くなるヒトは特有の遺伝子の構造(リスクアレル)をもちます。
そしてヒトは2つの同じ種類の染色体(相同染色体)をもっていますので、染色体の中に存在する遺伝子も同様に同じ種類の遺伝子が2つあり、『2つの遺伝子がリスクアレル>1つの遺伝子がリスクアレル>リスクアレルの遺伝子なし』の順番で大腸がんの発症リスクが高くなる傾向にあります。
ヒトは生まれる際に遺伝によって両親から1つずつ同じ種類の染色体を授かりますので、同時に大腸がんの発症リスクに関係する遺伝子も遺伝により両親から1つずつ授かることになり、大腸がんの発症リスクは遺伝することを説明することができます。上記の大腸がんの発症リスクの遺伝現象をイラストで説明すると以下のとおりになります。
①父親が1つ大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の1つの大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
②父親が2つ大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の2つの大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
③父親と母親が1つずつ大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、25%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の1つずつの大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
④父親が2つ、母親が1つ大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、残りの50%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
父親の2つの大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレルと母親の1つの大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
⑤父親と母親が2つずつ大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の2つずつの大腸がんの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト

アイコン「発症リスクの捉え方」

リスクアレル遺伝子は大腸がんの発症を100%決定づけるものではありません。

遺伝子と大腸がんの発症リスクの関係は統計的に調査されたものであり、リスクアレル遺伝子を持っているヒトはそうでないヒトに比べて統計的に大腸がんの発症リスクが高くなる傾向が見られるという意味合いに留まります。

具体的にはリスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトと、リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒト、リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトを大勢集め、それぞれのグループに分けて大腸がんの発症率を調べると「リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトのグループ」の順番で大腸がんの発症率が高くなります。

一方でグループの中のひとり一人に着目すると、リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトで大腸がんを発症されていない方もいらっしゃいますし、反対にリスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトで大腸がんを発症されている方もいらっしゃいます。

以上の理由から、リスクアレル遺伝子は大腸がんの発症リスクを高くする《傾向》があると理解することが大切です。

大腸がんの発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

※遺伝子検査サービス会社で実施する大腸がんの発症リスクの具体的な評価方法はノウハウ(会社独自の技術)であり公表されておりません。
以下でご紹介する内容はVaDE(ゲノム情報データベース)やNBCD(バイオサイエンスデータベースセンター)等で公表されている内容を参照してゲノラボが独自にまとめたものであり、遺伝子検査サービス会社が実施する遺伝子検査の方法を説明したものではありませんのであらかじめご了承願います。

大腸がんの発症リスクに関係するリスクアレルを持つ遺伝子は複数種類存在することから、単純に1種類の遺伝子だけで大腸がんの発症リスクが決まるわけではなく、多数の遺伝子の内容が絡み合って大腸がんの発症リスクを決定付けています。したがって、大腸がんの発症リスクを評価するためには複数の遺伝子がリスクアレルかどうかを検査していくわけですが、リスクアレルの構造に該当するかどうかは遺伝子の特定の箇所に存在する塩基の種類を調べることにより確認します。

具体的には以下のとおり複数の遺伝子について検査します。

⑴第1染色体に存在する遺伝子

第1染色体に存在するDUSP10/QRSL1P2遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による大腸がんの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって大腸がんの発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は大腸がんになりやすい体質、アデニン(A)である場合は大腸がんになりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GA>AAの順番で大腸がんの発症リスクが高くなります。

⑵第8染色体に存在する遺伝子

第8染色体に存在するSRRM1P1/POU5F1B遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による大腸がんの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かグアニン(G)かによって大腸がんの発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は大腸がんになりやすい体質、チミン(T)である場合は大腸がんになりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GT>TTの順番で大腸がんの発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるグアニン(G)を持つ日本人の割合が32.9%、チミン(T)を持つ日本人の割合が67.1%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も大腸がんの発症リスクが高くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が10.8%、GGの次に大腸がんの発症リスクが高いGTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が44.1%、最も大腸がんの発症リスクが低くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が45.0%となります。

⑶第10染色体に存在する遺伝子

第10染色体に存在するZMIZ1/AS1遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による大腸がんの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって大腸がんの発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は大腸がんになりやすい体質、アデニン(A)である場合は大腸がんになりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GA>AAの順番で大腸がんの発症リスクが高くなります。

⑷第12染色体に存在する遺伝子

第12染色体に存在するRPL18P9/CCND2遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による大腸がんの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって大腸がんの発症リスクが変わり、チミン(T)である場合は大腸がんになりやすい体質、シトシン(C)である場合は大腸がんになりにくい体質と評価されます。(つまりチミン(T)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとTT>TC>CCの順番で大腸がんの発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるチミン(T)を持つ日本人の割合が51.7%、シトシン(C)を持つ日本人の割合が48.3%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も大腸がんの発症リスクが高くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が26.7%、AAの次に大腸がんの発症リスクが高いAGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が49.9%、最も大腸がんの発症リスクが低くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が23.3%となります。

⑸第18染色体に存在する遺伝子

第18染色体に存在するSMAD7遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による大腸がんの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって大腸がんの発症リスクが変わり、アデニン(A)である場合は大腸がんになりやすい体質、グアニン(G)である場合は大腸がんになりにくい体質と評価されます。(つまりアデニン(A)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとAA>AG>GGの順番で大腸がんの発症リスクが高くなります。一例として5つの遺伝子における大腸がんの発症リスクの検査方法をご紹介させていただきましたが、大腸がんについてはそのほか多くの遺伝子に存在する特定の塩基の組み合わせ(遺伝子型)を確認していきます。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるアデニン(A)を持つ日本人の割合が15.3%、グアニン(G)を持つ日本人の割合が84.7%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も大腸がんの発症リスクが高くなるAAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が2.3%、AAの次に大腸がんの発症リスクが高いAGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が25.9%、最も大腸がんの発症リスクが低くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が71.7%となります。

大腸がんの予防方法

上述したとおり、大腸がんは飲酒・喫煙・運動不足により発症リスクが高まるとされていますので、習慣的にお酒を飲むことはやめて嗜まれる程度にし、タバコは禁煙、適度な運動を習慣づけられることが大腸がんの予防に繋がります。

また、潰瘍性大腸炎やクローン病を患われている方は大腸がんの発症リスクが高くなる傾向にありますので、年1回程度便潜血検査などによる定期的な検診を受診されることをオススメします。

なお、大腸がんは遺伝的な要因を強く受けますので家系に大腸がんを発症された患者様がいる方については、遺伝子検査サービスを使って発症リスクをあらかじめ把握しておくこともオススメします。
あらかじめ発症リスクを知ることで大腸がんの予防につなげていきましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

大腸がんは初期症状が出づらく、ある程度進行してから気づかれるケースが多い病気です。
したがって、発症リスクを正しく理解して日頃から予防に努めるとともに、年1回程度定期的に便潜血検査や内視鏡検査を受けられることが何より大切です。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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