糖尿病の発症に遺伝が影響する?糖尿病の症状・原因・リスク遺伝子・初期症状・予防方法まとめ

はじめに、糖尿病は遺伝の影響を受ける病気です。

ただし、遺伝だから必ず糖尿病を発症したり、反対に遺伝的に大丈夫だから絶対糖尿病を発症しないという性質のものではありません。
遺伝が与える影響はあくまでも糖尿病の発症しやすさであり、遺伝的に発症しやすい体質の方であっても日頃から予防に努めることで発症リスクを抑えることができますし、反対に遺伝的に発症しにくい体質の方であっても生活習慣の影響で糖尿病の発症リスクは高まります。

この記事では糖尿病の基本的な知識と、遺伝が糖尿病の発症リスクに影響を与える仕組み、糖尿病の発症リスクに影響を与える遺伝子の検査方法、糖尿病の初期症状や予防方法などについてご紹介させていただきます。

糖尿病とは

糖尿病とは「インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群」のことをいいます。(日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2016-2017」より)
つまり、「インスリンが作用不足であること」と「インスリンの作用不足により慢性的な高血糖状態になっていること」という2つの症状が確認された状態を糖尿病と呼びます。

まず、インスリンとは膵臓のβ細胞で生成され血液中に分泌されているホルモンです。
ヒトは体内に取り込んだ炭水化物を分解してブドウ糖と呼ばれる細胞のエネルギー源となる栄養素を吸収しているのですが、ブドウ糖が細胞のエネルギー源となるためには体内に吸収され血液中を流れるブドウ糖を細胞内に取り込む必要があり、細胞内にブドウ糖を取り込む役割を果たしているのがインスリンとなります。
したがって、インスリンの量が不足していたり、インスリンの機能が十分に果たされていない状態になるとブドウ糖が細胞内に取り込まれないため血液中にブドウ糖が残るため、高血糖状態となりますので糖尿病と診断されます。

詳しくは後述いたしますが、糖尿病はその原因によって大きく「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他の特定の機序、疾患によるもの」、「妊娠糖尿病」という4つの種類に分けられています。(日本糖尿病学会「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)」より)
糖尿病の9割方が2型糖尿病であり、1型糖尿病は糖尿病全体の数%と2型糖尿病と比べるとガクンと少ないのが特徴です。
また、妊娠糖尿病は「妊娠中に発症、または初めて発見された糖を代謝する機能が低下して血糖値が高くなっている状態」であり、糖尿病に至っていない糖代謝異常を指しますので今回の記事では説明を割愛させていただきます。

糖尿病の患者数の推移を表したグラフ
糖尿病の患者数ですが、厚生労働省の調査によると2002年は2,284,000人、2005年は2,469,000人、2008年は2,371,000人、2011年は2,700,000人、そして2014年には3,166,000人という患者数となっています。近年患者数が増加傾向にあり、多くの患者が存在する発症頻度の高い病気といえるでしょう。

糖尿病の症状

糖尿病を発症すると以下のような症状が引き起こされます。
・喉や口の渇き(口渇感)
・大量の水分の摂取(多飲)
・尿の量が増える(多尿)
・夜間の排尿の増加(夜間頻尿)
・だるさの増加(倦怠感)
・体重の減少

残念ながら2型糖尿病において上記のような症状がすでに出ている場合は病気がかなり進行して著しく血糖値が高くなってしまった場合であり、そのため2型糖尿病は初期に自覚症状がない病気といわれています。
1型糖尿病は2型糖尿病に比べて症状が急速に進行することが特徴ですので、上記の症状に加えて糖尿病を原因とする昏睡症状などが引き起こされます。

糖尿病の合併症

糖尿病は様々な合併症を引き起こす性質を持ちます。
特に糖尿病三大合併症と呼ばれる以下の病気には注意が必要です。

糖尿病神経障害

糖尿病により神経系に障害が引き起こされます。
糖尿病神経障害は糖尿病三大合併症の中でもっとも早く出現し、頻度も高いものですので、糖尿病の症状と併せて以下のような症状に注意が必要です。
・足の裏のほてり
・両足のしびれ
・尿が出にくい
・残尿感がある

糖尿病網膜症

糖尿病により網膜症が引き起こされます。
糖尿病の症状と併せて以下のような症状に注意しましょう。
・目がかすむ
・ものが見えにくい
・視野の一部が欠けている

糖尿病腎症

糖尿病により腎症が引き起こされます。
糖尿病の症状と併せて体にむくみが出ている場合には糖尿病腎症の疑いがあります。

糖尿病の原因

上述したとおり、糖尿病はインスリンの作用不足による慢性的な高血糖の状態を指しますが、その原因に応じて3つに種類分けされています。
以下ではそれぞれの種類の糖尿病に分けて、その原因を解説させていただきます。

1型糖尿病

1型糖尿病の原因は自己免疫疾患と呼ばれるものです。
元来ヒトには外から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を攻撃する免疫機能が備えられているのですが、その免疫機能が上手く働かずにインスリンを生成する膵臓のβ細胞を異物を判断して攻撃してしまうことがあります。
β細胞が攻撃されてしまうことによりインスリンが生成されなくなってしまいますので、血中のブドウ糖が細胞に取り込まれず余ってしまって慢性的な高血糖の状態となり糖尿病を発症します。
上記の自己免疫疾患の原因としては遺伝的なものやウイルスなどが原因と考えられていますが、明確な原因は未だ解明されていません。

2型糖尿病

2型糖尿病は遺伝的な要因と環境的な要因の2つが原因とされています。
まず、遺伝的にインスリンを分泌する量が少ない方や、細胞のインスリン抵抗性が高い(インスリンが分泌されても細胞がブドウ糖をなかなか取り込んでくれない)体質の方がいらっしゃいます。
これだけの要因で2型糖尿病を発症するわけではありませんが、体質的に2型糖尿病を発症しやすいということはお分りいただけるでしょうか。
一方で肥満の方はそうでない方に比べてインスリン抵抗性が高くなることが解明されていますので、上記の遺伝的な要因に加えて食べ過ぎや運動不足などの環境的な要因が加わると、どんどん細胞にブドウ糖が取り込まれなくなり、血中で取り込まれなかったブドウ糖が余ってしまい糖尿病を発症します。
この糖尿病を2型糖尿病と呼びます。

その他の特定の機序、疾患によるもの

1型にも2型にも該当しない糖尿病が「その他の特定の機序、疾患によるもの」に当てはまるわけですが、簡単に説明するとこれらの糖尿病はなんらかの病気や症状に伴って二次的に発症する糖尿病といえます。詳しくは以下に列挙していきます。

慢性膵炎による糖尿病

慢性膵炎を引き起こすと膵臓の機能が低下しますので、インスリンを分泌する機能も低下し糖尿病を発症します。

ヘモクロマトーシスによる糖尿病

ヘモクロマトーシスを引き起こすと体内に貯蔵される鉄の量が増加しますので、膵臓に鉄が沈着してしまい膵臓の機能が低下するため、インスリンを分泌する機能も低下し糖尿病を引き起こします。

バセドウ病による糖尿病

バセドウ病を引き起こすと食事の吸収率が高くなる傾向にあり、これにより血液中に大量にブドウ糖が取り込まんでしまい糖尿病を引き起こします。

その他、ミトコンドリア脳筋症や褐色細胞腫など様々な病気や症状によって糖尿病が引き起こされます。

糖尿病の発症リスクが遺伝する仕組み

糖尿病の発症リスクが高くなるヒトは特有の遺伝子の構造(リスクアレル)をもちます。
そしてヒトは2つの同じ種類の染色体(相同染色体)をもっていますので、染色体の中に存在する遺伝子も同様に同じ種類の遺伝子が2つあり、『2つの遺伝子がリスクアレル>1つの遺伝子がリスクアレル>リスクアレルの遺伝子なし』の順番で糖尿病の発症リスクが高くなる傾向にあります。
ヒトは生まれる際に遺伝によって両親から1つずつ同じ種類の染色体を授かりますので、同時に糖尿病の発症リスクに関係する遺伝子も遺伝により両親から1つずつ授かることになり、糖尿病の発症リスクは遺伝することを説明することができます。

上記の糖尿病の発症リスクの遺伝現象をイラストで説明すると以下のとおりになります。
①父親が1つ糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の1つの糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
②父親が2つ糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の2つの糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
③父親と母親が1つずつ糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、25%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の1つずつの糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
④父親が2つ、母親が1つ糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、残りの50%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
父親の2つの糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレルと母親の1つの糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
⑤父親と母親が2つずつ糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の2つずつの糖尿病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト

アイコン「発症リスクの捉え方」

リスクアレル遺伝子は糖尿病の発症を100%決定づけるものではありません。

遺伝子と糖尿病の発症リスクの関係は統計的に調査されたものであり、リスクアレル遺伝子を持っているヒトはそうでないヒトに比べて統計的に糖尿病の発症リスクが高くなる傾向が見られるという意味合いに留まります。

具体的にはリスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトと、リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒト、リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトを大勢集め、それぞれのグループに分けて糖尿病の発症率を調べると「リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトのグループ」の順番で糖尿病の発症率が高くなります。

一方でグループの中のひとり一人に着目すると、リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトで糖尿病を発症されていない方もいらっしゃいますし、反対にリスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトで糖尿病を発症されている方もいらっしゃいます。

以上の理由から、リスクアレル遺伝子は糖尿病の発症リスクを高くする《傾向》があると理解することが大切です。

糖尿病の発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

※遺伝子検査サービス会社で実施する糖尿病の発症リスクの具体的な評価方法はノウハウ(会社独自の技術)であり公表されておりません。
以下でご紹介する内容はVaDE(ゲノム情報データベース)やNBCD(バイオサイエンスデータベースセンター)等で公表されている内容を参照してゲノラボが独自にまとめたものであり、遺伝子検査サービス会社が実施する遺伝子検査の方法を説明したものではありませんのであらかじめご了承願います。

糖尿病の発症リスクに関係するリスクアレルを持つ遺伝子は複数種類存在することから、単純に1種類の遺伝子だけで糖尿病の発症リスクが決まるわけではなく、多数の遺伝子の内容が複雑に絡み合って糖尿病の発症リスクを決定付けています。

したがって、糖尿病の発症リスクを評価するためには該当するひとつひとつの遺伝子がリスクアレルかどうかを検査していくわけですが、リスクアレルの構造に該当するかどうかは遺伝子の特定の箇所に存在する塩基の種類を調べることにより確認します。

具体的には以下のとおり複数の遺伝子について検査します。

1型糖尿病の発症リスクに関係する遺伝子

第4染色体に存在する遺伝子

第4染色体に存在するC4orf52/RBPJ遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による1型糖尿病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって1型糖尿病の発症リスクが変わり、アデニン(A)である場合は1型糖尿病になりやすい体質、グアニン(G)である場合は1型糖尿病になりにくい体質と評価されます。(つまりアデニン(A)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとAA>AG>GGの順番で1型糖尿病の発症リスクが高くなります。

第6染色体に存在する遺伝子

第6染色体に存在するBACH2遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による1型糖尿病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がグアニン(G)かシトシン(C)かによって1型糖尿病の発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は1型糖尿病になりやすい体質、シトシン(C)である場合は1型糖尿病になりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GC>CCの順番で1型糖尿病の発症リスクが高くなります。

pickupアイコン
九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるグアニン(G)を持つ日本人の割合が35.6%、シトシン(C)を持つ日本人の割合が64.4%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も1型糖尿病の発症リスクが高くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が12.6%、GGの次に1型糖尿病の発症リスクが高いGCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が45.8%、最も1型糖尿病の発症リスクが低くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が41.4%となります。

第10染色体に存在する遺伝子

第10染色体に存在するDKFZp667F0711遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による1型糖尿病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって1型糖尿病の発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は1型糖尿病になりやすい体質、アデニン(A)である場合は1型糖尿病になりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GA>AAの順番で1型糖尿病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるグアニン(G)を持つ日本人の割合が11.5%、アデニン(A)を持つ日本人の割合が88.5%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も1型糖尿病の発症リスクが高くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が1.3%、GGの次に1型糖尿病の発症リスクが高いGAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が20.3%、最も1型糖尿病の発症リスクが低くなるAAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が78.3%となります。

その他の1型糖尿病の発症リスクに関係する遺伝子

1型糖尿病の発症リスクについては多くの遺伝子との関連が明らかになっており、遺伝子検査では上記に掲げたほか以下の遺伝子に存在するリスクアレルを確認していきます。

染色体 確認遺伝子
第1染色体 MAPKAPK2/IL10遺伝子
PTPN22遺伝子
第2染色体 IFIH1遺伝子
第6染色体 LINC00574/RPL12P23遺伝子
HCG23遺伝子
第7染色体 SKAP2遺伝子
第9染色体 GLIS3遺伝子
第10染色体 VN1R55P/RNLS遺伝子
第11染色体 IGF2,IGF2-AS,INS-IGF2遺伝子
第12染色体 SUOX/IKZF4遺伝子
第14染色体 ZFP36L1遺伝子
VRK1/RPL3P4遺伝子
第15染色体 CTSH遺伝子
第16染色体 CLEC16A遺伝子
IL27/NUPR1遺伝子
CTRB2/CTRB1遺伝子
第17染色体 GSDMB遺伝子
第18染色体 PSMG2/PTPN2遺伝子
CD226遺伝子
第19染色体 PRKD2遺伝子
TYK2遺伝子
第20染色体 SIRPG遺伝子
第21染色体 UBASH3A遺伝子
第22染色体 C1QTNF6/SSTR3遺伝子

2型糖尿病の発症リスクに関係する遺伝子

第11染色体に存在する遺伝子

第11染色体に存在するKCNJ11遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による2型糖尿病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって2型糖尿病の発症リスクが変わり、シトシン(C)である場合は2型糖尿病になりやすい体質、チミン(T)である場合は2型糖尿病になりにくい体質と評価されます。(つまりシトシン(C)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとCC>CT>TTの順番で2型糖尿病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるシトシン(C)を持つ日本人の割合が33.3%、チミン(T)を持つ日本人の割合が66.7%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も2型糖尿病の発症リスクが高くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が11.0%、CCの次に2型糖尿病の発症リスクが高いCTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が44.4%、最も2型糖尿病の発症リスクが低くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が44.4%となります。

第15染色体に存在する遺伝子

第15染色体に存在するRASGRP1遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による2型糖尿病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって2型糖尿病の発症リスクが変わり、チミン(T)である場合は2型糖尿病になりやすい体質、シトシン(C)である場合は2型糖尿病になりにくい体質と評価されます。(つまりチミン(T)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとTT>TC>CCの順番で2型糖尿病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるチミン(T)を持つ日本人の割合が51.2%、シトシン(C)を持つ日本人の割合が48.8%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も2型糖尿病の発症リスクが高くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が26.2%、TTの次に2型糖尿病の発症リスクが高いTCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が49.9%、最も2型糖尿病の発症リスクが低くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が23.8%となります。

第18染色体に存在する遺伝子

第18染色体に存在するRPS3AP49/MC4R遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による2型糖尿病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって2型糖尿病の発症リスクが変わり、アデニン(A)である場合は2型糖尿病になりやすい体質、グアニン(G)である場合は2型糖尿病になりにくい体質と評価されます。(つまりアデニン(A)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとAA>AG>GGの順番で2型糖尿病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるアデニン(A)を持つ日本人の割合が12.2%、グアニン(G)を持つ日本人の割合が87.8%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も2型糖尿病の発症リスクが高くなるAAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が1.4%、AAの次に2型糖尿病の発症リスクが高いAGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が21.4%、最も2型糖尿病の発症リスクが低くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が77.0%となります。

その他の2型糖尿病の発症リスクに関係する遺伝子

2型糖尿病の発症リスクについては多くの遺伝子との関連が明らかになっており、遺伝子検査では上記に掲げたほか以下の遺伝子に存在するリスクアレルを確認していきます。

染色体 確認遺伝子
第2染色体 NYAP2/MIR5702遺伝子
第3染色体 UBE2E2遺伝子
PPARG遺伝子
PSMD6/PRICKLE2-AS1遺伝子
IGF2BP2遺伝子
第6染色体 POU5F1遺伝子
ZFAND3遺伝子
CDKAL1遺伝子
第7染色体 MIR129-1/LEP遺伝子
第8染色体 ANK1,MIR486遺伝子
SLC30A8遺伝子
第9染色体 GLIS3遺伝子
CDKN2B-AS1/DMRTA1遺伝子
第10染色体 GRK5遺伝子
CDC123/MIR4480遺伝子
TCF7L2遺伝子
HHEX/EXOC6遺伝子
第11染色体 KCNQ1遺伝子
第15染色体 C2CD4A/C2CD4B遺伝子
HMG20A遺伝子
第19染色体 PEPD遺伝子
第20染色体 HNF4A遺伝子

糖尿病の初期症状・前兆

上述したとおり、糖尿病は初期症状に気付きにくい病気であり、喉や口の渇き・体重の減少などの症状が出てくるのは比較的糖尿病が進行した後になります。

一方で、糖尿病の前兆は血液中に余ったブドウ糖(血糖値)から感知することが可能です。
一般的に、血液中にブドウ糖が多くなって160〜170mg/dL以上になると尿の中へブドウ糖が溢れ出てきます。
したがって、尿検査の糖分という検査項目において過剰な糖分が検出されて陽性判定となった場合は糖尿病の疑いがあります。
ただし160〜170mg/dLという尿の中へブドウ糖が溢れ出す境界線となる値(域値)はあくまでも一般的な数値であり、個人差もありますので陽性判定となった場合でも必ずしも糖尿病とは限りません。血糖値が高くないにも関わらず尿中にブドウ糖が溢れ出ているケース(腎性糖尿といいます)もありますので、確定検査を受けるために血液検査を受けましょう。

また血液検査などで医師から血糖値が高めだと注意された場合も要注意です。
自覚症状がないからといって放ったらかしにしておくと、ますます糖尿病が進行する危険がありますので、生活習慣の改善に努め糖尿病の予防に努める必要があります。

糖尿病の予防方法

1型糖尿病の具体的な予防方法は残念ながら現在の医療において解明されていないものの、糖尿病の大半を占める2型糖尿病は運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が大きく関与していることが解明されています。
したがって糖尿病を予防するためには習慣的な運動の実施と、食生活の改善が非常に有効といえます。

習慣的な運動の実施

運動を行うことにより、血中のブドウ糖の消費促進とインスリン抵抗性の改善が期待できます。
具体的には運動を行うことで血液中のブドウ糖が筋肉で消費されます。
また運動により脂肪酸も筋肉で消費されますので、肥満の改善に役立ち、肥満を原因とするインスリン抵抗性(細胞にブドウ糖が取り込まれにくい)の改善にも役立ちます。

運動の種類としては散歩やジョギング、体操、自転車、水泳などの有酸素運動がオススメです。(特に自転車や水泳などは肥満体質の改善にも効果的です。)

運動をやめてしまうと期間の経過とともにブドウ糖の消費促進や脂肪酸の消費といった効果がなくなってしまいますので、自分にあったレベルの運動を継続して習慣的に行うことが大切です。

食生活の改善

食生活を改善するにあたって、まずは理想的な体重を設定します。
理想的な体重が何kgなのかはみなさんの身長によって異なっていて、BMIという指数によって計っていきます。
BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))ですので、例えば身長が170cmで体重が70kgの方であればBMIは、70÷(1.7×1.7)=24.22となります。
一般的にBMIが22くらいの方が有病率が一番低い(一番病気にかかりにくい)と言われていますので、そこから考えると身長が170cmの方であれば63〜64kg程度に減量することが望ましいといえます。

自分の理想体重が決まれば次は1日当たりの摂取カロリーを決めていきます。
一般的に、デスクワークなど1日を通して運動量が少ない方の1日あたり摂取カロリーが体重(kg)×25〜30キロカロリー、立ち仕事の多い標準的な運動量の方で体重(kg)×30〜35キロカロリー、力仕事の多い運動量の多い方で体重(kg)×35キロカロリー以上と言われています。
今現在BMIが理想の数値に近い方であれば上記の範囲内の摂取カロリーで構いませんが、BMIが理想の数値を上回っている方は摂取カロリーを少し落とします。
摂取カロリーを落とすことで、摂取カロリーが足りない状態となりますから、足りない分は脂肪から補われ体重が減少していきます。

摂取カロリーが決まりましたら、最後は栄養バランスを考えた食事を摂りましょう。
日本人の理想的な栄養バランスは炭水化物が60%、タンパク質が15%、脂質が25%といわれています。
近年の食の欧米化により、特に脂質の比率が増加している傾向にありますので、脂質の摂取は全体の25%以内に抑えましょう。

食生活の改善を運動の実施と併せて行うことで、糖尿病の原因となる肥満の改善に強い効果を発揮いたしますが、3日坊主になってしまっては元も子もありませんので、無理をしない程度にできる範囲から少しずつ改善していきましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

糖尿病の大半を占める2型糖尿病は遺伝的な要因や生活習慣などの環境的な要因が重なり合って発症しますので、日頃の生活習慣を改善することで糖尿病は予防することができます。
また、遺伝的に自分の糖尿病のリスクがどれくらいあるのかをあらかじめ把握しておくことで生活習慣の改善に力が入ることも考えられますので、遺伝子検査を受けることをひとつのキッカケとしてみるのも良いでしょう。

当サイトでは遺伝の基本的な知識から、遺伝がカラダやココロに与える影響など遺伝に関する様々な情報をご紹介していますので、お時間がよろしければ是非ご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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