白血病の発症に遺伝が影響する?白血病の症状・原因・リスク遺伝子・初期症状・予防方法まとめ

はじめに、一部の白血病については遺伝の影響を受ける病気です。

ただし、遺伝の影響で必ず白血病を発症したり、反対に遺伝的に大丈夫だから絶対に白血病を発症するものではありません。
つまり白血病は親から子へ一定の法則で伝わる病気ではなく、遺伝の影響を受けるのは白血病の発症しやすさの傾向に留まります。
したがって、遺伝的に白血病を発症するリスクの高い方で白血病を発症されない方もいらっしゃいますし、反対に遺伝的に白血病を発症するリスクが低い方でも白血病を発症される方はいらっしゃいます。

この記事では白血病の基本的な知識をご説明させていただいた後、遺伝が白血病の発症リスクに影響を与える仕組み、白血病の発症リスクに影響を与える遺伝子の検査方法をご紹介し、最後に白血病の初期症状や予防方法などについてご紹介をさせていただきます。

白血病とは

私たちヒトの血液は白血球・赤血球・血小板といった血液細胞から構成されています。
白血球は外から侵入してきたウイルスや細菌などの異物を排除するため、抗体を作ったり異物を攻撃して排除したりする役割があり、赤血球は呼吸により取り込んだ酸素を体中に運搬する役割が、血小板には出血を止める役割があります。

これら血液の細胞は骨の内部に存在するゼリー状の骨髄と呼ばれる場所で、血液細胞の元になる造血幹細胞から白血球・赤血球・血小板へと成長していきます。
そしてこれらの成長は造血幹細胞が白血球・赤血球・血小板へ分かれて変化していく様から「分化」と呼ばれています。

正常な状態であれば、造血幹細胞は一定の決まりに従って白血球・赤血球・血小板へ分化していきますので血液細胞のバランスが崩れることはなく、また造血幹細胞自体の増殖についてもきちんとコントロールされているため無制限に血液細胞が増えていくことはありません。

この造血幹細胞が少し分化した段階でがん化してしまい、その後の分化や増殖に異常が起きてしまう状態を白血病と呼びます。
上記の理由から白血病は血液のがんとも言われています。

※がんとは
ヒトの体は約37.2兆個の細胞から構成されており、新しい細胞ができては古くなった細胞と入れ替わっています。
1つの細胞が2つに分裂することで新しい細胞が作られていくわけですが、正常な細胞であれば周囲の状態を検知し必要に応じて細胞分裂を行うのに対し、がん化した細胞は際限なく分裂を繰り返し増殖していきます。
白血病においては増殖異常だけではなく分化の異常も引き起こします。

白血病の種類

白血病は急速に進行していく「急性白血病」と比較的ゆっくりと進行していく「慢性白血病」に分けられ、またがん化した血液細胞が骨髄性のものかリンパ性のものかによって「骨髄性白血病」と「リンパ性白血病」に分けられます。

急性白血病

急性白血病では幼若な白血球(分化が完了していない未熟な白血球のこと。以下「白血病細胞」と呼びます)が無制限に増えていきます。
急性白血病における白血病細胞はその後完全に分化することはなく、正常な白血球・赤血球・血小板は白血病細胞が増える分だけ減少していきます。

慢性白血病

慢性白血病でも白血病細胞は無制限に増えていきますが、慢性白血病における白血病細胞には分化する力が残されていますので、白血病細胞だけでなく分化した血球(特に白血球)も相対的に増えていきます。
慢性白血病が進行していくにつれて次第に白血病細胞は分化する能力を失っていきます。

骨髄性白血病

白血病細胞の影響で好中球・好酸球・好塩基球といった顆粒球(外から侵入した異物を排除する役割を果たす白血球の一種)に異常が現れた白血病を骨髄性白血病と呼びます。

リンパ性白血病

白血病細胞の影響でリンパ球(外から侵入した異物に対抗するための抗体を作り出す白血球の一種)に異常が現れた白血病をリンパ性白血病と呼びます。

以上のとおり白血病は大きく「急性骨髄性白血病」、「急性リンパ性白血病」、「慢性骨髄性白血病」、「慢性リンパ性白血病」の4つの種類に分けられます。

年齢別の白血病罹患率

白血病は他のがんの発症年齢の傾向と比較すると14歳未満での罹患率が高いことが特徴で、男性は40〜45歳、女性は50〜55歳頃から急激に罹患率が上昇する傾向にあります。

(がん研究振興財団「がんの統計2015年版」より引用)

白血病の内訳

全白血病に占める急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病・慢性骨髄性白血病の割合は以下のとおりです。なお、日本において慢性リンパ性白血病は白血病全体の数%しか存在しないまれな疾患となります。

病名 男性における発症割合 女性における発症割合
急性骨髄性白血病 62.5% 58.8%
急性リンパ性白血病 21.2% 27.4%
慢性骨髄性白血病 16.3% 13.8%

白血病の患者数

白血病の患者数の推移を表したグラフ
白血病の患者数ですが、厚生労働省の調査によると2002年は25,000人、2005年は24,000人、2008年は29,000人、2011年は30,000人、そして2014年には30,000人という患者数となっています。近年において患者数の著しい変動は見受けられません。

白血病の症状

白血病の症状は急性白血病と慢性白血病で大きく異なりますので、それぞれに分けて主な症状をご説明いたします。

急性白血病の症状

急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病を発症した場合、白血病細胞が増殖し正常に分化した白血球・赤血球・血小板が減少しますので、以下のような症状が引き起こされます。

白血球の減少によって引き起こされる症状

白血球の減少によって外から侵入してくるウイルスや細菌に対する抵抗力が弱くなるため、肺炎や尿路感染症、肛門周囲膿瘍、敗血症などの感染症の合併を引き起こします。

赤血球の減少によって引き起こされる症状

赤血球の減少によって肺に取り込んだ酸素が正常に体中に運ばれなくなるため、だるさや息切れ、動悸といった貧血症状を引き起こします。

血小板の減少によって引き起こされる症状

血小板の減少によって出血が止まりにくくなるため、皮下出血や鼻出血、歯茎からの出血などがよく見られるようになります。
またひどくなると胃腸などの臓器からの出血や脳出血などを引き起こす場合もあります。

そのほかにも肝臓や脾臓などの臓器の腫れ、歯茎やリンパ節の腫れ、関節痛や原因不明の発熱などの症状が現れるようになります。

慢性白血病の症状

慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病を発症した場合、慢性期から急性期へと病気が進展していきます。

慢性白血病の慢性期の症状

慢性白血病の慢性期においては白血病細胞が増加していくものの、まだ分化する能力が残されていますので、白血病細胞だけではなく分化後の血液細胞(特に白血球)が増加していきます。
全身のだるさや肝臓や脾臓の腫れに伴う腹部の膨満感や、合併症により胃潰瘍を引き起こすことがありますが、自覚症状が現れることはまれであり、ほとんどの方が健康診断の血液検査の結果、白血球の数が異常に増加していることから慢性白血病を発見されるケースがほとんどです。

慢性白血病の急性期の症状

慢性白血病の急性期に入ると白血病細胞が白血球・赤血球・血小板に分化していく能力を失っていきますので、急性白血病と同様に白血球の減少・赤血球の減少・血小板の減少に伴う症状が引き起こされます。(症状の詳細は「急性白血病の症状」をご参照ください。)

白血病の原因

白血病細胞では遺伝子の異常が多く見つかっていることから、白血病には遺伝子の異常が深く関与しており、この遺伝子の異常こそが白血病の原因と考えられています。

遺伝子は細胞の中に存在する染色体の中に組み込まれていますので、白血病を発症された方の細胞を調べると染色体の異常が起きていたり、あるいは染色体は正常に見えても染色体に組み込まれた遺伝子に異常が起きているケースがあります。

染色体や遺伝子については以下の記事で詳しく解説しています。

急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病の原因

急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病はなんらかの原因で遺伝子に傷がつくことによって始まる遺伝子の異常が原因と考えられています。

放射線の被曝や抗がん剤の服用、ウイルスの感染、ベンゼンやトルエンといった化学物質などが急性白血病の発症要因になると考えられていますが、ほとんどのケースにおいて原因は特定できていないというのが現状です。

慢性骨髄性白血病の原因

慢性骨髄性白血病の主な原因は具体的に解明されており、95%以上の患者さんでフィラデルフィア染色体と呼ばれる異常な遺伝子を持った染色体が発見されています。

具体的には、ヒトの細胞の中には1番〜22番までそれぞれ2対で存在する常染色体44本と性染色体2本が存在するのですが、このうち第9染色体と第22染色体の一部の入替が起きてしまい、本来であれば第9染色体に存在する「ABL遺伝子」と第22染色体に存在する「BCR遺伝子」が同じ染色体上に組み込まれてしまい、「BCR-ABL遺伝子」と呼ばれる異常な遺伝子が出来上がってしまい、この遺伝子から生成される異常なタンパク質が慢性骨髄性白血病の原因とされています。

また元々持っている遺伝子の構造によって、統計的に慢性骨髄性白血病の発症率が高くなったり低くなったりすることから、一人一人が持っている遺伝子も慢性骨髄性白血病の発症リスクに影響を及ぼすと考えられています。

慢性リンパ性白血病の原因

慢性リンパ性白血病の原因は上述してきた白血病と同じように染色体の異常を伴うことも珍しくありませんが、具体的な原因は現在でも解明されていません。

ただし、慢性リンパ性白血病は欧米では白血病全体の30%を占めますが、日本では白血病全体の数%しか存在しないまれな疾患であり、また欧米の日系人についても同様に発症頻度が低いことから、人種の違いに伴う遺伝的要因に強く影響しているのではないかと考えられており、今後のさらなる解明が期待されているところです。

なお、慢性リンパ性白血病も慢性骨髄性白血病と同様に、遺伝子の構造によって統計的に慢性リンパ性白血病の発症率が高くなったり低くなったりすることから、一人一人が持つ遺伝子も発症リスクに影響を及ぼすと考えられています。

白血病の発症リスクが遺伝する仕組み

上述したとおり、慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病の発症リスクについては遺伝子の影響を受けます。
つまり、これらの白血病の発症リスクが高くなるヒトは特有の遺伝子の構造(リスクアレル)を持っています。
ヒトは2つの同じ種類の染色体(相同染色体)をもっていますので、染色体の中に存在する遺伝子も同様に同じ種類の遺伝子が2つあり、『2つの遺伝子がリスクアレル>1つの遺伝子がリスクアレル>リスクアレルの遺伝子なし』の順番で白血病の発症リスクが高くなる傾向にあります。
ヒトは生まれる際に遺伝によって両親から1つずつ同じ種類の染色体を授かりますので、同時に白血病の発症リスクに関係する遺伝子も遺伝により両親から1つずつ授かることになり、白血病の発症リスクは遺伝することを説明することができます。

上記の白血病の発症リスクの遺伝現象をイラストで説明すると以下のとおりになります。
①父親が1つ白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の1つの白血病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
②父親が2つ白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の2つの白血病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
③父親と母親が1つずつ白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、25%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の1つずつの白血病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
④父親が2つ、母親が1つ白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、残りの50%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
父親の2つの白血病の発症リスクを高めるリスクアレルと母親の1つの白血病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
⑤父親と母親が2つずつ白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で白血病の発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の2つずつの白血病の発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト

アイコン「発症リスクの捉え方」

リスクアレル遺伝子は白血病の発症を100%決定づけるものではありません。

遺伝子と白血病の発症リスクの関係は統計的に調査されたものであり、リスクアレル遺伝子を持っているヒトはそうでないヒトに比べて統計的に白血病の発症リスクが高くなる傾向が見られるという意味合いに留まります。

具体的にはリスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトと、リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒト、リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトを大勢集め、それぞれのグループに分けて白血病の発症率を調べると「リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトのグループ」の順番で白血病の発症率が高くなります。

一方でグループの中のひとり一人に着目すると、リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトで白血病を発症されていない方もいらっしゃいますし、反対にリスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトで白血病を発症されている方もいらっしゃいます。

以上の理由から、リスクアレル遺伝子は白血病の発症リスクを高くする《傾向》があると理解することが大切です。

白血病の発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

※遺伝子検査サービス会社で実施する白血病の発症リスクの具体的な評価方法はノウハウ(会社独自の技術)であり公表されておりません。
以下でご紹介する内容はVaDE(ゲノム情報データベース)やNBCD(バイオサイエンスデータベースセンター)等で公表されている内容を参照してゲノラボが独自にまとめたものであり、遺伝子検査サービス会社が実施する遺伝子検査の方法を説明したものではありませんのであらかじめご了承願います。

遺伝子分野の研究が進み、白血病のうち「慢性骨髄性白血病」と「慢性リンパ性白血病」の発症リスクと関連する遺伝子が解明されており、具体的には以下の通りそれぞれの発症リスクに関連する遺伝子を検査していきます。

慢性骨髄性白血病の発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

慢性骨髄性白血病の発症リスクを評価するためには該当の遺伝子がリスクアレルかどうかを検査していくわけですが、リスクアレルの構造に該当するかどうかは遺伝子の特定の箇所に存在する塩基の種類を調べることにより確認します。

具体的には以下のとおり該当の遺伝子について検査します。

第17染色体に存在する遺伝子

第17染色体に存在するTUFMP1/RPL34P31遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による慢性骨髄性白血病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かシトシン(C)かによって慢性骨髄性白血病の発症リスクが変わり、シトシン(C)である場合は慢性骨髄性白血病になりやすい体質、アデニン(A)である場合は慢性骨髄性白血病になりにくい体質と評価されます。(つまりシトシン(C)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとCC>CA>AAの順番で慢性骨髄性白血病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるシトシン(C)を持つ日本人の割合が51.7%、アデニン(A)を持つ日本人の割合が48.3%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も慢性骨髄性白血病の発症リスクが高くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が26.7%、CCの次に慢性骨髄性白血病の発症リスクが高いCAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が49.9%、最も慢性骨髄性白血病の発症リスクが低くなるAAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が23.3%となります。

慢性リンパ性白血病の発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

慢性リンパ性白血病の発症リスクに関係するリスクアレルを持つ遺伝子は複数種類存在することから、単純に1種類の遺伝子だけで慢性リンパ性白血病の発症リスクが決まるわけではなく、多数の遺伝子の内容が絡み合って慢性リンパ性白血病の発症リスクを決定付けています。

したがって、慢性リンパ性白血病の発症リスクを評価するためには複数の遺伝子がリスクアレルかどうかを検査していくわけですが、リスクアレルの構造に該当するかどうかは遺伝子の特定の箇所に存在する塩基の種類を調べることにより確認します。

具体的には以下のとおり複数の遺伝子について検査します。

第2染色体に存在する遺伝子

第2染色体に存在するACOXL遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による慢性リンパ性白血病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって慢性リンパ性白血病の発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は慢性リンパ性白血病になりやすい体質、アデニン(A)である場合は慢性リンパ性白血病になりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GA>AAの順番で慢性リンパ性白血病の発症リスクが高くなります。

第3染色体に存在する遺伝子

第3染色体に存在するMYNN遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による慢性リンパ性白血病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって慢性リンパ性白血病の発症リスクが変わり、シトシン(C)である場合は慢性リンパ性白血病になりやすい体質、チミン(T)である場合は慢性リンパ性白血病になりにくい体質と評価されます。(つまりシトシン(C)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとCC>CT>TTの順番で慢性リンパ性白血病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が74名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるシトシン(C)を持つ日本人の割合が44.6%、チミン(T)を持つ日本人の割合が55.4%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も慢性リンパ性白血病の発症リスクが高くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が19.8%、CCの次に慢性リンパ性白血病の発症リスクが高いCTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が49.4%、最も慢性リンパ性白血病の発症リスクが低くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が30.6%となります。

第4染色体に存在する遺伝子

第4染色体に存在するLEF1遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による慢性リンパ性白血病の発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かシトシン(C)かによって慢性リンパ性白血病の発症リスクが変わり、アデニン(A)である場合は慢性リンパ性白血病になりやすい体質、シトシン(C)である場合は慢性リンパ性白血病になりにくい体質と評価されます。(つまりアデニン(A)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとAA>AC>CCの順番で慢性リンパ性白血病の発症リスクが高くなります。

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九州大学が74名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるアデニン(A)を持つ日本人の割合が40.3%、シトシン(C)を持つ日本人の割合が59.7%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も慢性リンパ性白血病の発症リスクが高くなるAAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が16.2%、AAの次に慢性リンパ性白血病の発症リスクが高いACの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が48.1%、最も慢性リンパ性白血病の発症リスクが低くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が35.6%となります。

その他の慢性リンパ性白血病の発症リスクに関係する遺伝子

慢性リンパ性白血病の発症リスクについては多くの遺伝子との関連が明らかになっており、遺伝子検査では上記に掲げたほか以下の遺伝子等に存在するリスクアレルを確認していきます。

染色体 確認遺伝子
第2染色体 CASP8遺伝子
第6染色体 BAK1遺伝子
OPRM1,IPCEF1遺伝子
IRF4遺伝子
第9染色体 CDKN2B-AS1/DMRTA1遺伝子
第10染色体 FAS遺伝子
第11染色体 MIR4493/GRAMD1B遺伝子
ASCL2/TSPAN32遺伝子
第15染色体 RPLP1/GEMIN8P1遺伝子
第18染色体 PMAIP1/NFE2L3P1遺伝子

白血病の初期症状・前兆

急性白血病の初期症状・前兆

急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病は多くのケースで数週間〜数ヶ月間で急速に症状が進行していくため、正常な白血球・赤血球・血小板の数の減少による様々な症状を引き起こします。
以下に白血病の発見のキッカケとしてよく報告されている症状を列挙させていただきましたのでご参考にしていただければ幸いです。

長引く風邪

正常な白血球の数の減少等により外部から侵入してくるウイルスや最近への免疫力が低下することから、今までは治っていた風邪が長引きなかなか治らないといった症状を引き起こします。

倦怠感・動悸・息切れ

正常な赤血球の数の減少等により体中に運ばれる酸素の量が減少し、倦怠感や動悸、息切れといった症状を引き起こします。

鼻血・歯肉からの出血

正常な血小板の数の減少等により血が止まりにくくなり、鼻血や歯肉からの出血が引き起こされます。
また皮下出血(アザ)などもよく見られる症状として挙げられます。

慢性白血病の初期症状・前兆

慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病は急性白血病とは異なり、白血病細胞が正常な白血球・赤血球・血小板に分化することができる数年間の慢性期を経て、白血球細胞が正常な白血球・赤血球・血小板に分化することができなくなる急性期へと移行していきます。
したがって慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病で初期症状が見られるのは非常にまれなケースであり、多くの方が血液検査で白血球の異常等を指摘されることがキッカケとなり、その時点で自覚症状がないケースがほとんどです。
慢性白血病の初期に当たる慢性期で報告されている症状として以下のようなものが報告されています。

倦怠感の増加

慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病の共通の初期症状として報告されているもののひとつとして全身のだるさを感じるケースが挙げられています。

臓器の腫れ

慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病の共通の初期症状として報告されているもののひとつとして脾臓の腫れに伴う腹部の膨満感を感じるケースがあげられています。
脾臓の腫れは慢性期によく見られる症状ですが、自覚症状として気づかないケースも多いとされています。
また慢性骨髄性白血病の慢性期においては肝臓の腫れが見受けられるケースがあり、慢性リンパ性白血病の慢性期においてはリンパ節の腫れが見受けられるケースもあります。

白血病の予防方法

上述してきたとおり、白血病の原因は遺伝子の傷であるとされていますが、なぜその傷がつくのか具体的な因果関係は未だ解明されていません。
したがって、白血病の明確な予防策は現時点では存在していませんが、予防策をひとつ挙げるとすれば「禁煙」をオススメします。

タバコの煙には4,000種類もの化学物質が含まれており、そのうち200種類の化学物質は有害物質と考えられています。
白血病との関連において特に注意したいのがタバコに含まれるベンゼンやトルエンで、ベンゼンやトルエンは具体的な因果関係は解明されていないものの白血病の原因となる遺伝子の傷を作るキッカケになると考えられています。

国立がん研究所が公表している内容によれば、リンパ性白血病については研究報告が少なく報告結果も一致していないことから喫煙とリンパ性白血病の因果関係は不明であるとしているものの、骨髄性白血病と喫煙との間には明確な因果関係があるものとして結論づけられており、また喫煙期間が長く、喫煙本数が多いほど骨髄性白血病のリスクは上昇するものとされています。

同じく国立がん研究所が公表している白血病リスクの分析によると、喫煙者の女性における骨髄性白血病のリスクの上昇は解明されていないものの、喫煙者の男性においては骨髄性白血病のリスクが1.5倍に上昇するものと報告されています。

今後白血病と喫煙との因果関係もさらに解明されていくことが予想されますが、すでに現時点で白血病の原因となる遺伝子の傷のキッカケを引き起こすものとしてベンゼンやトルエンの存在が挙げられており、このベンゼンやトルエンはタバコの煙に含まれていることはまぎれもない事実ですので、タバコが白血病の発症とまったく無関係だとすることは無理があるでしょう。

以上の理由から、今現在喫煙者の方であり、白血病の予防を考えていらっしゃる方は今すぐ禁煙されることをオススメします。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

白血病の原因は遺伝子の傷であるとされていますが、その遺伝子の傷がどのようなキッカケで引き起こされるのか、いくつか考えられる原因は挙げられているものの具体的な因果関係は未だ解明されていないというのが現状です。

遺伝研究の発展などにより医療は日々進歩していますので、将来的に白血病の具体的な原因が解明されることは大いに期待できるものですが、今現実的に考えられる最善の策は白血病を早期に発見し完治や寛解を目標にするということです。(寛解とは、完治まではいかないものの、症状を軽く治めて白血病とうまく付き合っていくことを指します。)

白血病を早期に発見するためには、「体の調子が悪いと感じたらすぐに病院で受診すること」と「定期的に血液検査を受けて万が一血液の異常が起きた時に気づくことができる仕組みを作っておくこと」が大切です。

また、遺伝的な自分の白血病の発症リスクをあらかじめ把握しておくこともオススメです。
今では遺伝子検査を受けることによって白血病の発症リスクを知ることができますので、気になる方は心に溜め込まずに思い切って検査を受けておきましょう。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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