関節リウマチの発症に遺伝が影響する?関節リウマチの症状・原因・リスク遺伝子・初期症状・予防方法まとめ

はじめに、関節リウマチは遺伝による影響を受ける病気です。

ただし遺伝によって必ず関節リウマチを発症したり、反対に発症しなかったりというものではありません。
遺伝が関節リウマチに与える影響は、あくまでも関節リウマチの発症しやすさであり、遺伝的に関節リウマチを発症しやすい方であっても日頃から予防に努めることで発症リスクを抑えることができますし、反対に遺伝的に関節リウマチを発症しにくい方であっても生活習慣の影響で関節リウマチを発症してしまいます。

この記事では関節リウマチの基本的な知識と、遺伝が関節リウマチの発症リスクに影響を与える仕組み、関節リウマチの発症リスクに影響を与える遺伝子の検査方法、関節リウマチの初期症状や予防方法などについてご紹介させていただきます。

関節リウマチとは

一般的にリウマチは広義でリウマチ性疾患を指し、狭義で関節リウマチを指す言葉です。
リウマチ性疾患には関節リウマチをはじめとして、痛風やリウマチ熱など100種類以上の病気が含まれていますので、この記事では関節リウマチについてご紹介させていただきます。

リウマチという言葉は古くヒポクラテスの時代にまでさかのぼり、『rheuma(ロイマ)』と呼ばれる『流れ』を意味する言葉から作り出されたものです。
リウマチを発症するとあちこちと移り変わるように関節の痛みが発生することから、移り変わる痛みの様子を水の流れに例えてこのように呼ばれるようになりました。

関節リウマチは自己免疫疾患と呼ばれる自分自身の免疫機能の不全が原因で発症する病気であり、関節リウマチを発症すると主に関節の滑膜と呼ばれる部位に炎症が引き起こされます。

滑膜は関節でとなり合う2つの骨と骨を覆う薄い膜で、滑膜から分泌される滑液(関節液)が骨の端部に存在する軟骨と軟骨の間の潤滑油の働きや、軟骨に栄養を届けるなどの働きを果たしています。
滑液は滑膜によってとなり合う2つの骨の軟骨と軟骨の間に留められていますので、滑膜と滑液が一体となって関節部分のクッション材のような役割を果たしているわけです。

この滑膜に炎症が引き起こされると滑液の分泌が多くなるため腫れを引き起こすとともに、炎症性サイトカインなどの発痛物質が生成されて関節の神経を刺激し痛みを引き起こします。
関節リウマチが進行すると当初滑膜だけに発生していた炎症が軟骨や骨に移っていき関節を破壊してしまいます。
さらに関節リウマチが進行すると炎症が血液等に乗って全身に広がっていって様々な障害を引き起こしてしまいます。

上記から説明できるのは、「関節リウマチを発症したからといってすぐに関節が破壊されたり変形するわけではないということ」です。
一般的には発病後1〜2年程度経過すると骨が傷つきはじめ、2〜3年内に関節の破壊が進行していき、5〜10年位かけて段階的に関節の変形が進んでいくと言われていますので、骨の破壊がはじまる前に関節リウマチを見つけることで、滑膜の炎症を抑える治療を行って関節リウマチの進行を遅らせたり、関節リウマチを寛解(腫れや痛みが存在する関節が数個以下で、炎症反応がない状態)させることも十分に可能です。

関節リウマチの発症傾向を見てみますと、30〜40歳代が発症のピークの年齢で男女比は1対3と女性に多く見受けられる傾向にあります。
関節リウマチの患者数の推移を表したグラフ
関節リウマチの患者数ですが、厚生労働省の調査によると2002年は321,000人、2005年は317,000人、2008年は336,000人、2011年は332,000人、そして2014年には336,000人という患者数となっています。近年患者数の変動は少ないものの、推定患者数は70万〜100万人とも言われており、依然として多くの患者が存在する発症頻度の高い病気といえるでしょう。

関節リウマチの亜型

関節リウマチによる炎症が全身に広がり、稀に目や心臓・肺・神経・皮膚などの様々な臓器に障害が及ぶ場合があり、この場合は「悪性関節リウマチ」と呼ばれる特定疾患(難病)になります。
この悪性関節リウマチについては、1989年に厚生省(現在の厚生労働省)の特定疾患難治性血管炎調査研究班が以下の診断基準を公表しています。

分類 項目
臨床症状・検査所見 ①多発性神経炎
②皮膚潰瘍または梗塞または指指壊疽
③皮下結節
④上強膜炎または虹彩炎
⑤滲出性胸膜炎または心嚢炎
⑥心筋炎
⑦間質性肺炎または肺線維症
⑧臓器梗塞
⑨リウマトイド因子高値
⑩血清低補体価または血中免疫複合体陽性
組織所見 皮膚・筋・神経・その他の臓器の生検により、小ないし中動脈に壊死性血管炎、肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること

1987年のアメリカリウマチ学会の関節リウマチの診断基準(※)を満たした上で、上記表の「臨床症状・検査所見で記載の①〜⑩の3つ以上の項目に該当する場合」、または「臨床症状・検査所見で記載の①〜⑩の1つ以上の項目に該当し、かつ組織所見で記載した項目に該当する場合」に悪性関節リウマチと診断されます。

※《ご参考》アメリカリウマチ学会の関節リウマチの診断基準
①少なくとも1時間以上持続する「朝のこわばり」が6週間以上続く
②3個以上の関節の腫脹が6週間以上続く
③手・中手指節関節・近位指節関節の腫脹が6週間以上続く
④対称性関節腫脹が6週間以上続く
⑤皮下結節(リウマチ結節)
⑥血清リウマトイド因子が陽性
⑦手・指のX線の変化
以上の①〜⑦のうち、4つ以上の項目を満たす場合に関節リウマチと診断されます。

関節リウマチの症状

関節リウマチを発症すると、関節を中心として様々な症状が引き起こされます。
以下で関節リウマチの症状を列挙させていただきましたのでご参考にしてください。

関節リウマチによる関節の症状

朝のこわばり

関節リウマチの特徴的な症状としてはこわばりが挙げられます。
特に朝にカラダや関節周辺にこわばりが現れることから一般に「朝のこわばり」と呼ばれています。
この朝のこわばりは関節リウマチの状態が悪ければ悪いほど長時間持続する傾向にあるため、朝のこわばりの持続時間を確認することで関節リウマチの状態を推測することができます。

関節炎

続いて関節炎ですが、関節リウマチによる関節炎は『様々な関節で炎症が起きる』、『左右対称に炎症が起きる』、『炎症が他の関節に移り変わる』ことが特徴です。
関節リウマチによる関節炎が起こる場所としてよく報告されているのが、手(指の第二関節・指の付け根・手首に関節炎が多く現れ、指の第一関節には現れないと言われています)や足(指の付け根・足首)、ひじ、ひざ、肩などの関節です。
関節に炎症が起きていますので、関節を動かすと強い痛みを感じ、関節は腫れて熱っぽくなります。
この状態を放っておくと炎症が軟骨に移ってしまい、軟骨がだんだんと壊れていき関節の隙間がなくなりますので、骨と骨が完全に固定された状態となり曲がらなくなってしまいます。

滑液包炎

関節の周囲に存在するゼリー状の液体が入った滑液包に炎症が起きると、滑液包にさらに液体が溜まっていくため腫れ上がります。
滑液包炎は肘の周囲や膝の前面などによく見られます。

関節水腫

関節リウマチにより急激に関節に炎症が引き起こされると関節の中で潤滑液の役割を果たしている滑液(関節液)が大量に溜まり、関節水腫が引き起こされます。
膝に腫れや痛みを感じたり、膝を押した時に膝の皿がぷよぷよと動き浮いているように感じます。

腱鞘炎

ヒトは腱を伸び縮みさせることによって関節を動かしており、腱は骨に付いた腱鞘によって骨と一体化しています。(腱鞘はちょうどベルト通しのような形で骨に繋がっていて、腱がベルト通しにとおったベルトのような関係です。)
この部分が炎症によって腫れ上がってしまうと、腱の通りが悪くなり関節がスムーズに動かなくなります。

関節の変形

関節リウマチが進行すると関節や腱が壊れてしまうことにより、関節の変形が引き起こされます。
関節リウマチ特有の関節の変形が見受けられるため一般に「リウマチ変形」と言われています。
手の指のリウマチ変形については、手の指が外側を向いてしまう「尺側変形」や、指の第1関節と付け根の関節が曲がり第2関節はまっすぐに伸びる「スワンネック変形」、指の第2関節だけが曲がったまま固定される「ボタンホール変形」などが見られます。
足の指のリウマチ変形については、親指の付け根が外側に突出する「外反母趾」や、指の付け根が上・指の先が下に曲がる「槌指」と呼ばれる変形などが見られます。

関節リウマチによる全身の症状

関節リウマチの炎症が全身に及んだ場合は発熱や倦怠感・疲労感の増加、体重の減少などといった症状が見られる場合があります。
また、ひじやひざ、後頭部や手、おしりなど様々な箇所にコブ状のしこり(リウマチ結節)が現れる場合もあります。

悪性関節リウマチによる症状

悪性関節リウマチを発症すると障害が起きた箇所に応じて「手足のしびれ」や「手足の指の壊死」、「目の充血や痛み」等、神経障害や臓器障害を原因とした様々な症状が引き起こされます。(悪性関節リウマチの症状の詳細は「関節リウマチとは」でご紹介した悪性関節リウマチの診断基準をご参照いただければと存じます。)

関節リウマチの原因

なぜ関節リウマチを発症すると関節の痛みが引き起こされるかと言いますと、そこにはヒトの免疫機能が深く関係しています。

従来ヒトのカラダには外部から侵入する細菌やウィルスなどの異物を排除するための免疫機能が備わっているのですが、この免疫機能が正常に働かなくなり自分の体の一部を異物とみなして攻撃してしまうことがあり、この状態を自己免疫疾患と呼びます。

関節リウマチはこの自己免疫疾患のひとつであり、免疫の誤作動によって関節部に炎症が起こることによって引き起こされます。
具体的には、免疫機能が関節部に存在する滑膜という組織を誤認して異物とみなして攻撃してしまうことから始まると言われています。
免疫機能の攻撃により滑膜に炎症が引き起こされると滑膜から分泌される滑液の量が増加するため関節の腫れの原因となり、炎症した滑膜から炎症性サイトカインなどの物質が放出されることで関節の痛みの原因となります。

この状態を放っておくと、滑膜で発生した炎症が関節部の軟骨や骨に広がり破壊されていきますので、関節が変形してだんだん機能を失っていく原因となります。

関節リウマチの発症リスクが遺伝する仕組み

関節リウマチの発症リスクが高くなるヒトは特有の遺伝子の構造(リスクアレル)をもちます。
そしてヒトは2つの同じ種類の染色体(相同染色体)をもっていますので、染色体の中に存在する遺伝子も同様に同じ種類の遺伝子が2つあり、『2つの遺伝子がリスクアレル>1つの遺伝子がリスクアレル>リスクアレルの遺伝子なし』の順番で関節リウマチの発症リスクが高くなる傾向にあります。
ヒトは生まれる際に遺伝によって両親から1つずつ同じ種類の染色体を授かりますので、同時に関節リウマチの発症リスクに関係する遺伝子も遺伝により両親から1つずつ授かることになり、関節リウマチの発症リスクは遺伝することを説明することができます。

上記の関節リウマチの発症リスクの遺伝現象をイラストで説明すると以下のとおりになります。
①父親が1つ関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の1つの関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
②父親が2つ関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝します。
父親の2つの関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
③父親と母親が1つずつ関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、25%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の1つずつの関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
④父親が2つ、母親が1つ関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒50%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が1つ子に遺伝し、残りの50%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
父親の2つの関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレルと母親の1つの関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト
⑤父親と母親が2つずつ関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)を持つケース
⇒100%の確率で関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレル遺伝子(染色体)が2つ子に遺伝します。
両親の2つずつの関節リウマチの発症リスクを高めるリスクアレルが子に遺伝する様子を示したイラスト

アイコン「発症リスクの捉え方」

リスクアレル遺伝子は関節リウマチの発症を100%決定づけるものではありません。

遺伝子と関節リウマチの発症リスクの関係は統計的に調査されたものであり、リスクアレル遺伝子を持っているヒトはそうでないヒトに比べて統計的に関節リウマチの発症リスクが高くなる傾向が見られるという意味合いに留まります。

具体的にはリスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトと、リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒト、リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトを大勢集め、それぞれのグループに分けて関節リウマチの発症率を調べると「リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つ持っているヒトのグループ>リスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトのグループ」の順番で関節リウマチの発症率が高くなります。

一方でグループの中のひとり一人に着目すると、リスクアレル遺伝子を2つ持っているヒトで関節リウマチを発症されていない方もいらっしゃいますし、反対にリスクアレル遺伝子を1つも持っていないヒトで関節リウマチを発症されている方もいらっしゃいます。

以上の理由から、リスクアレル遺伝子は関節リウマチの発症リスクを高くする《傾向》があると理解することが大切です。

関節リウマチの発症リスクに関係する遺伝子の検査方法

※遺伝子検査サービス会社で実施する関節リウマチの発症リスクの具体的な評価方法はノウハウ(会社独自の技術)であり公表されておりません。
以下でご紹介する内容はVaDE(ゲノム情報データベース)やNBCD(バイオサイエンスデータベースセンター)等で公表されている内容を参照してゲノラボが独自にまとめたものであり、遺伝子検査サービス会社が実施する遺伝子検査の方法を説明したものではありませんのであらかじめご了承願います。

関節リウマチの発症リスクに関係するリスクアレルを持つ遺伝子は複数種類存在することから、単純に1種類の遺伝子だけで関節リウマチの発症リスクが決まるわけではなく、多数の遺伝子の内容が絡み合って関節リウマチの発症リスクを決定付けています。

したがって、関節リウマチの発症リスクを評価するためには複数の遺伝子がリスクアレルかどうかを検査していくわけですが、リスクアレルの構造に該当するかどうかは遺伝子の特定の箇所に存在する塩基の種類を調べることにより確認します。

具体的には以下のとおり多くの遺伝子について検査します。

第2染色体に存在する遺伝子

第2染色体に存在するB3GNT2/TMEM17遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による関節リウマチの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって関節リウマチの発症リスクが変わり、チミン(T)である場合は関節リウマチになりやすい体質、シトシン(C)である場合は関節リウマチになりにくい体質と評価されます。(つまりチミン(T)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとTT>TC>CCの順番で関節リウマチの発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるチミン(T)を持つ日本人の割合が28.7%、シトシン(C)を持つ日本人の割合が71.3%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も関節リウマチの発症リスクが高くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が8.2%、TTの次に関節リウマチの発症リスクが高いTCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が40.9%、最も関節リウマチの発症リスクが低くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が50.8%となります。

第6染色体に存在する遺伝子

第6染色体に存在するRNF182/CD83遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による関節リウマチの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって関節リウマチの発症リスクが変わり、シトシン(C)である場合は関節リウマチになりやすい体質、チミン(T)である場合は関節リウマチになりにくい体質と評価されます。(つまりシトシン(C)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとCC>CT>TTの順番で関節リウマチの発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるシトシン(C)を持つ日本人の割合が18.4%、チミン(T)を持つ日本人の割合が81.6%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も関節リウマチの発症リスクが高くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が3.3%、CCの次に関節リウマチの発症リスクが高いCTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が30.0%、最も関節リウマチの発症リスクが低くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が66.5%となります。

第10染色体に存在する遺伝子

第10染色体に存在するARID5B遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による関節リウマチの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かグアニン(G)かによって関節リウマチの発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は関節リウマチになりやすい体質、チミン(T)である場合は関節リウマチになりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GT>TTの順番で関節リウマチの発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるグアニン(G)を持つ日本人の割合が36.8%、チミン(T)を持つ日本人の割合が63.2%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も関節リウマチの発症リスクが高くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が13.5%、GGの次に関節リウマチの発症リスクが高いGTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が46.5%、最も関節リウマチの発症リスクが低くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が39.9%となります。

第14染色体に存在する遺伝子

第14染色体に存在するPLD4遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による関節リウマチの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がチミン(T)かシトシン(C)かによって関節リウマチの発症リスクが変わり、チミン(T)である場合は関節リウマチになりやすい体質、シトシン(C)である場合は関節リウマチになりにくい体質と評価されます。(つまりチミン(T)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとTT>TC>CCの順番で関節リウマチの発症リスクが高くなります。

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九州大学が74名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるチミン(T)を持つ日本人の割合が59.5%、シトシン(C)を持つ日本人の割合が40.5%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も関節リウマチの発症リスクが高くなるTTの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が35.4%、TTの次に関節リウマチの発症リスクが高いTCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が48.1%、最も関節リウマチの発症リスクが低くなるCCの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が16.4%となります。

第18染色体に存在する遺伝子

第18染色体に存在するPTPN2遺伝子の特定の位置の塩基を確認することで、遺伝子の影響による関節リウマチの発症リスクを検査できます。
該当の位置に存在する塩基がアデニン(A)かグアニン(G)かによって関節リウマチの発症リスクが変わり、グアニン(G)である場合は関節リウマチになりやすい体質、アデニン(A)である場合は関節リウマチになりにくい体質と評価されます。(つまりグアニン(G)がリスクアレルとなります。)
したがって、親から遺伝により1つずつ継承した2つの遺伝子の塩基の組み合わせ(遺伝子型)で考えるとGG>GA>AAの順番で関節リウマチの発症リスクが高くなります。

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九州大学が87名の日本人を対象に調査したところ、リスクアレルであるグアニン(G)を持つ日本人の割合が35.6%、アデニン(A)を持つ日本人の割合が64.4%という結果になりました。
この結果を参照すると、最も関節リウマチの発症リスクが高くなるGGの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が12.6%、GGの次に関節リウマチの発症リスクが高いGAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が45.8%、最も関節リウマチの発症リスクが低くなるAAの遺伝子の組み合わせをもつ日本人の割合が41.4%となります。

その他の関節リウマチの発症リスクに関係する遺伝子

関節リウマチの発症リスクについては多くの遺伝子との関連が明らかになっており、遺伝子検査では上記に掲げたほか以下の遺伝子等に存在するリスクアレルを確認していきます。

染色体 確認遺伝子
第2染色体 LOC150577遺伝子
CTLA4遺伝子
第4染色体 ANXA3遺伝子
第5染色体 CSF2/P4HA2遺伝子
第6染色体 NFKBIE遺伝子
CCR6遺伝子
第10染色体 ZNF438/SPTLC1P1遺伝子
第11染色体 PDE2A遺伝子
SESN3/FGFR3P2遺伝子

関節リウマチの初期症状・前兆

日本リウマチ学会では早期関節リウマチの診断基準を公表しています。
以下に列挙する症状が3つ以上起きている場合には病態に応じた適切な治療を開始する必要があるとしているものですので、初期症状を確認するにあたって大変参考になります。

早期関節リウマチの診断基準(日本リウマチ学会公表)

①3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる。
②2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる。
③朝のこわばりがある。
④皮下結節(リウマトイド結節)がひじ・ひざなどにみられる。
⑤血液検査で赤沈に異常がみられる。またはCRPが陽性である。
⑥血液検査でリウマトイド因子が陽性である。

赤沈とは

採取した血液をガラス管の中に入れ、1時間で赤血球が沈降する距離を測ります。
基準値となるのは20mm以下で、炎症が起きている場合はフィブリノーゲンやαグロブリンが赤血球同士を凝集させてしまうため、赤血球が沈降する速度が高まります。

CRPとは

採取した血液に含まれるCRP(Cリアクティブ・プロテイン)の量を測定します。
基準値となるのは0.3mm/dl以下で、炎症が起きている場合はCRPの量が多くなります。

リウマトイド因子とは

血液中に含まれるリウマトイド因子を測定します。
関節リウマチの患者の約80%で陽性判定となりますが、健康な方であっても約5%が陽性判定になるとされています。

⑤と⑥の項目は血液検査をしない限り確認することができない項目であり、自覚症状として確認できる項目は①〜④の項目です。
朝のこわばり、関節の痛みや腫れ、ひじやひざにできたコブ状のしこり(リウマトイド結節)に1つでも気づかれた場合は病院での受診を検討しましょう。

関節リウマチの予防方法

関節リウマチの原因で説明させていただいたとおり、関節リウマチは自己免疫疾患により引き起こされており、自己免疫疾患は遺伝的な要因のほか生活習慣の影響などの環境要因によって引き起こされると考えられています。

関節リウマチは遺伝的な要因だけで発症する病気ではないことから日常生活の中で関節リウマチの原因となる要素を防ぐことが重要といえますので、以下で関節リウマチの原因と考えられている項目をご紹介させていただきます。

禁煙

最近の研究の結果喫煙は関節リウマチの発症リスクを増加させることが解明されてきました。
具体的には喫煙により従来は刺激を受けることのない気道上のタンパク質が強い刺激を受けてシトルリン化して抗原(抗体の形成を促す物質)になり、この抗原に対抗するように抗CCP抗体が生み出されることが分かっています。

抗CCP抗体の値は高ければ高いほどリウマチが重症化しやすい傾向にあり、関節リウマチの感受性(発症のしやすさ)に影響を与える抗体のひとつであることが分かっています。

喫煙により関節リウマチの発症リスクはおおむね2倍程度にも及ぶと言われており、関節リウマチの発症リスクの上昇に最も影響を及ぼす生活習慣とも言われていますので、関節リウマチ予防の観点からは禁煙することが大きな予防対策となるといえます。

歯周病の予防

関節リウマチを発症されている患者さんは歯周病の罹患率が高く、歯周病の治療により関節リウマチの活動性が低下することがわかっています。

具体的には歯周病の病原となるPorphyromonas gingivalistと呼ばれる細菌が血液に乗って歯肉から関節に移ることで、関節で抗CCP抗体の産生を促す原因となることから、歯周病が関節リウマチのリスクのひとつになるといわれています。

正しいブラッシング、定期的に歯医者で歯石を除去するなどして口腔内を清潔に保ち歯周病を予防することがリウマチの予防に繋がります。
また、喫煙は歯周病を悪化させる生活習慣ですので、歯周病の予防という観点からも禁煙が必要です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

関節リウマチは最終的には体の関節機能を破壊してしまう恐ろしい病気ですが、初期症状に気づいて早期に治療することで関節の破壊を防ぐことも可能です。
この記事でご紹介している関節リウマチの初期症状をご参照いただきながら、何らかの自覚症状がある場合はまず病院で受診されることをオススメします。

また、日常生活における関節リウマチの発症リスクを高める習慣を是正することで、関節リウマチの発症リスクを大きく下げることも可能ですので禁煙や歯周病の予防・治療なども取り入れていきたいところです。

また、関節リウマチは遺伝的な要因によって発症しやすいヒトがいらっしゃるというのも事実です。
関節リウマチは遺伝だけで発症の有無が決まる病気ではありませんが、自分の遺伝的な体質の傾向を自覚することで予防につなげることができますので、関節リウマチの予防を考えていらっしゃる方はひとつのきっかけとして遺伝子検査の利用を考えてみても良いでしょう。

当サイトでは、遺伝の基本的な知識から遺伝がカラダやココロに与える影響など様々な記事をご提供していますので、お時間がよろしければ他の記事もご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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